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『あの・・・一応言っておきますけど、私達まだそういうのしてないですからね』
「・・・え、嘘でしょ？」
『なんでですか！やってないですよ！』
ぽつりと否定を紡いでいけば、鼻先を向けた二人が唖然と瞬きを繰り返している。”嘘だろ”とでも言いたげな表情で。あの仁花ちゃんすらこの驚きっぷりだ、いよいよ飛雄が可哀想になってきた。
＿＿＿飛雄を飢えた獣か何かと思っているのか。
数え切れないほどの私欲を呑み込んできてくれたという事実を知っているのは私だけだ。これを知れば彼のイメージはもっと誠実なものに覆るかもしれない。
今までの経緯を簡単に説明しながら真っ白なＴシャツを頭から被る。語られる事実に瞳を揺らした清水先輩が、穏やかにその目元を和らげてみせた。
「影山、本当にAちゃんのことが大好きなんだね。そこまで手を出さずにいるのはAちゃんが大事で仕方がないからだよ」
『・・・そうだと、嬉しいです』
「そうだよ！影山くん、Aちゃんと一緒にいるとき凄く幸せそうだもん！周りの人達に向ける表情と柔らかさが全然違うっていうか」
「それだけ愛されてるってことだよ。きっと、影山にとってはAちゃんが全てなんだろうね」
耳朶に響く幸福な台詞に、胸が軋む。
心の奥底が締め付けられるのは淡い期待を抱いてしまうからではなく、その言葉が【事実】であると知ってしまっているからだ。自身を犠牲にしてまで大事にしてくれていることも、溢れんばかりの愛を注いでくれていることも身を持って実感しているから。
＿＿＿真っ直ぐで不器用で、
それでいて温かくて優しい愛し方で。
浮かぶ姿に意識を傾けるだけで愛おしさが湧き上がる。途端にあの優しい温もりが欲しくなってしまった。思い返しながらネックレスを握り締めると、艶やかな黒髪を結っていく清水先輩が思い出したように声をあげた。
「でも少し前に一緒に住んでたって言ってたよね？私達てっきりそのときに済んでるものかと思ってたよ」
『そういう雰囲気になったのは何度か。昨日は途中までしたけど・・・色々あって止めました』
「へ〜、途中まではしたんだ？」
「おっ、大人だ・・・！」
悪戯に微笑む清水先輩からの追求に、余計なことを言うんじゃなかったと少し後悔した。きっと飛雄の方も似たような状況だろう。ある程度の冷やかしは覚悟して、気を引き締めて体育館へ出向くとしよう。
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惠音(プロフ) - mbftmmさん» 嬉しすぎるお言葉ありがとうございます！独特な書き方をどう感じてもらえるか不安だったんですけど、そう言っていただけて本当に嬉しいです....！まだまだ物語は続きますので、最後までお付き合い頂けると幸いです！！ (10月12日 10時) (
レス) id: eb865940ec (このIDを非表示/違反報告)
惠音(プロフ) - yokyo586さん» 励みのお言葉ありがとうございます！影山くんとのお話だけど、月島くんの良さを出来る限り表現していきたいと思いまして....！幸せだけじゃなくて切なくて辛い感じとか、リアルな恋愛を書くよう心掛けていますので....そのへんも楽しんで頂けたら幸いです！ (10月12日 10時) (レス) id: eb865940ec (このIDを非表示/違反報告)
mbftmm(プロフ) - 主様は天才ですか？天才ですね？きゅん死寸前です……言葉の綴り方も上手で世界に入り込んでしまう…！！！応援してます！！！！！！ (10月12日 0時) (レス) @page11 id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)
yokyo586(プロフ) - 切ない···影山大好きなのに、月島を応援したくなっちゃう···読み手の心を鷲掴みに出来る作者様すごすぎます！キャラの心情や背景がすっごく分かりやすくてスっと物語に入れちゃいます！ (10月9日 21時) (レス) @page11 id: 1b6531e2bb (このIDを非表示/違反報告)
惠音(プロフ) - まゆ華さん» この作品を見つけてくださってありがとうございます！面白いと言ってもらえて嬉しいです....！これからも楽しんでもらえるように頑張りますので、よろしくお願いします！ (10月4日 20時) (レス) id: eb865940ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：惠音
| 作成日時：2023年9月30日 19時
