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会場のボルテージが上がっていく。きっと誰もがここまで烏野が這い上がると思っていなかっただろう。
＿＿＿【落ちた強豪】【飛べない烏】
固着した異名は常に部員達の前に聳え立っていた。過去に置き去りにされたままの”眩しい光”を再び掴もうと、ただひたすらに手を伸ばし続けてきた。
何度宙を掴んでも、地面を這いつくばっても、決して目指すべき場所を見失うことはなかった。飛び方を忘れていた漆黒の翼は年月をかけ、再び高々と大空へ羽ばたくために立ち上がるのだ。
＿＿＿真っ直ぐ、高く、頂の先を目指して。
「烏野ファイトー！」
菅原さんのサーブで一瞬乱れた青城だったが、それを強制的に引き寄せたのが及川先輩だった。烏野のチャンスボールをコート外からのロングセットアップで岩泉先輩の頭上へ。一直線に風を切るボールは岩泉先輩の強烈なスパイクで烏野側へ返されるが、後方から駆け出した澤村先輩が見事に上げてみせた。こうした咄嗟の判断と一歩が、得点へと結び付いていく。
＿＿＿繋げ、繋げ、繋げ。
たったコンマ一秒遅れるだけで間に合わない世界。まさに極限状態。部員達のギリギリまで研ぎ澄まされた神経と集中力が痛いほどに伝わってくる。
互いに粘り続け、地面へ落ちることのないボール。
しかし、その瞬間は突として訪れた。
後方から駆け出し、声を上げながら高く飛ぶ日向くんに皆の視線が移る。瞬時に反応をした飛雄が精密なトスで日向くんの手元へ持っていくと、てっぺんで回転の威力が収まったボールが吸い付くように日向くんの掌に当たる。
全ての条件を満たして放たれたそれは勢いよく相手コートへと吸い込まれ、一歩遅れた及川先輩の腕を弾いて床へと落下した。
『・・・勝った、』
＿＿＿試合終了の笛の音。
一気に湧き上がる会場からの歓声に鳥肌が立った。ビリビリと肌に伝わる声量がいま目の前で起きていることが”現実”であると理解させる。烏野高校は、あの屈辱の敗北を乗り越えてみせたのだ。
隣にいる仁花ちゃんと喜びを分かち合うと、冴子ねぇさんが再び豊満な胸元を私に押し付けてくる。窒息しかけた顔面を動かして視線をコートへ落とせば、飛雄と及川先輩がネットを挟んで向かい合っていた。
＿＿＿きっと飛雄の人生に、この試合は大きな“意味“を与えたことだろう。自分よりも遥か先を歩いていた【及川徹】という存在に、ようやくその手が届いたのだから。
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惠音(プロフ) - mbftmmさん» 嬉しすぎるお言葉ありがとうございます！独特な書き方をどう感じてもらえるか不安だったんですけど、そう言っていただけて本当に嬉しいです....！まだまだ物語は続きますので、最後までお付き合い頂けると幸いです！！ (10月12日 10時) (
レス) id: eb865940ec (このIDを非表示/違反報告)
惠音(プロフ) - yokyo586さん» 励みのお言葉ありがとうございます！影山くんとのお話だけど、月島くんの良さを出来る限り表現していきたいと思いまして....！幸せだけじゃなくて切なくて辛い感じとか、リアルな恋愛を書くよう心掛けていますので....そのへんも楽しんで頂けたら幸いです！ (10月12日 10時) (レス) id: eb865940ec (このIDを非表示/違反報告)
mbftmm(プロフ) - 主様は天才ですか？天才ですね？きゅん死寸前です……言葉の綴り方も上手で世界に入り込んでしまう…！！！応援してます！！！！！！ (10月12日 0時) (レス) @page11 id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)
yokyo586(プロフ) - 切ない···影山大好きなのに、月島を応援したくなっちゃう···読み手の心を鷲掴みに出来る作者様すごすぎます！キャラの心情や背景がすっごく分かりやすくてスっと物語に入れちゃいます！ (10月9日 21時) (レス) @page11 id: 1b6531e2bb (このIDを非表示/違反報告)
惠音(プロフ) - まゆ華さん» この作品を見つけてくださってありがとうございます！面白いと言ってもらえて嬉しいです....！これからも楽しんでもらえるように頑張りますので、よろしくお願いします！ (10月4日 20時) (レス) id: eb865940ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：惠音
| 作成日時：2023年9月30日 19時
