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互いに譲らず”一点”を積み重ねていく。一進一退の状態が長く続き、ファイナルセットを迎える頃には皆の体力にも限界が近付いていた。
＿＿＿このセットを取れば、青葉城西に勝てる。
自分がコートに立っている訳じゃないのに、まるで白熱するそこに混ざっているかのような興奮と高揚感が纏う。つい数ヶ月前までは知らなかったこの感覚が、いつの間にか私の身体に根付き始めていた。
及川先輩のサーブが回ってくるたびに烏野の空気が張り詰めるのが分かる。放たれたボールを誰かが上げるその瞬間まで、私も無意識に息を止めてしまっていた。点差を離さないまま接戦が続き、会場全体の温度が底上げされたようにジリジリとした熱が肌に伝わってくる。
『す、凄いね・・・』
「うん・・・、なんかずっと緊張状態な感じ」
目の前で繰り広げられる攻防に息を呑む。緊張のせいで口の中はすっかり乾いてしまっていた。
短い笛が鳴るたびに捲られていく得点。その一点一点がひどく重い。ボールが床に叩き着くまでのたった数秒の中に色んな感情が込められているのだと思うと胸が締め付けられる。
＿＿＿バレーボールは凄いスポーツだと、こうして試合を目の当たりにするたびに実感させられる。そしてそんな極限状態の中、凛としてコートに立ち続けている選手達も。
飛雄を支えにした日向くんの決死のブロックでデュースへと運んだ終盤。あとがない張り詰められたこの場面で、飛雄が飄々とツーアタックを決めてみせた。土壇場の攻めに会場から歓声が湧く。
「こ、これであと一点・・・！」
「相変わらず影山のメンタルの強さったらねぇな。普通あの場面でツーにはいけねぇわ」
「うっひょ〜！やるねぇ〜君の彼氏！」
『さ、冴子ねぇさん声がでかいです・・・』
「飛雄ー！彼女が”格好良い”ってよー！」
『ちょっ！恥ずかしいですから！』
冴子ねぇさんの悪ノリが届いたのか、緩やかに鼻先を向けた飛雄が気まずげな視線を寄越した。こんな緊迫した中で淡い感情を晒すのがなんだか申し訳なくて、場違いな気がしてしまって、小さな罪悪感に苛まれながらぎこちなく手を振ってみる。
照れ臭そうに視線を外す飛雄の背中を、田中先輩が高笑いと共にバシバシ叩いていた。その光景に口端を緩めると、同じように冴子ねぇさんが「ひゅ〜！」と揶揄いながら私の背中を強く叩いてくる。
＿＿＿さすが姉弟。やることが同じだ。
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惠音(プロフ) - mbftmmさん» 嬉しすぎるお言葉ありがとうございます！独特な書き方をどう感じてもらえるか不安だったんですけど、そう言っていただけて本当に嬉しいです....！まだまだ物語は続きますので、最後までお付き合い頂けると幸いです！！ (10月12日 10時) (
レス) id: eb865940ec (このIDを非表示/違反報告)
惠音(プロフ) - yokyo586さん» 励みのお言葉ありがとうございます！影山くんとのお話だけど、月島くんの良さを出来る限り表現していきたいと思いまして....！幸せだけじゃなくて切なくて辛い感じとか、リアルな恋愛を書くよう心掛けていますので....そのへんも楽しんで頂けたら幸いです！ (10月12日 10時) (レス) id: eb865940ec (このIDを非表示/違反報告)
mbftmm(プロフ) - 主様は天才ですか？天才ですね？きゅん死寸前です……言葉の綴り方も上手で世界に入り込んでしまう…！！！応援してます！！！！！！ (10月12日 0時) (レス) @page11 id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)
yokyo586(プロフ) - 切ない···影山大好きなのに、月島を応援したくなっちゃう···読み手の心を鷲掴みに出来る作者様すごすぎます！キャラの心情や背景がすっごく分かりやすくてスっと物語に入れちゃいます！ (10月9日 21時) (レス) @page11 id: 1b6531e2bb (このIDを非表示/違反報告)
惠音(プロフ) - まゆ華さん» この作品を見つけてくださってありがとうございます！面白いと言ってもらえて嬉しいです....！これからも楽しんでもらえるように頑張りますので、よろしくお願いします！ (10月4日 20時) (レス) id: eb865940ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：惠音
| 作成日時：2023年9月30日 19時
