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「じゃあ、俺はこれにする」
『・・・これ、夏祭りの』
「特別な思い出だろ、俺達にとって」
新しく待ち受け画面に設定されていたのは浴衣姿でピースサインを向ける私の写真だった。慈しむように目蓋を伏せ、その特別な記憶を蘇らせながら微笑む飛雄に胸が締め付けられていく。
＿＿＿”愛されている”と、その優しい表情を見るだけで痛いほどに伝わってくる。飛雄からの多大な愛情は言葉にしなくても感じ取れるものがたくさんあるから。
「上手く愛してやれるか分からない」と本人は悩んでいるみたいだけど、正直こんなにも真っ直ぐな愛をくれる人はなかなかいないと思う。不器用ながらもストレートで直球な想いが飛雄らしくて、私はいつもその優しさに溺れている。確かに愛情はちょっと重いけど。
嬉しさに歪んでしまう口元を噛み殺して平常心を手繰り寄せる。走り出したくなる感情を必死に抑えて、広い肩にピッタリとくっついて寄り添ってみた。
『それ、先輩達に見られたら絶対冷やかされちゃうよ？』
「もう今更だろ。見せるつもりねぇけどな」
『でも意外。飛雄ってそういうの絶対やらないタイプだと思ってた』
「そういうの？」
『彼女を待ち受けにしたりとかさ。馬鹿らしいとか吐き捨てるタイプじゃん』
一番衝撃的だったのはまさにコレだった。あの飛雄が彼女の写真を待ち受け画面にするなんて正直かなり驚きだ。確かに愛情は重めだけど、”好きだ”という感情をわざわざ周りへ見せつけたりしないタイプだと思っていたから。
ひょっとしたらペアルックやお揃いのモノ持ったり、そういう如何にもラブラブなカップルらしいこともやってくれたりするのだろうか。可能なら少し試してみたい気もする。似たような服装でデートするの、ちょっと憧れてたんだよね。
私の疑問に目を丸くした飛雄は、再び画面へ目を伏せると口端に優しさを滲ませた。
「・・・そうだな。今まではそうだった」
『今まで？』
「お前を好きになってから、俺は色んなものを信じられるようになった。どんなにくだらないことでも、Aとならやってみたい」
『・・・飛雄』
「お前が俺の世界を変えたんだ、責任とって最後まで付き合えよ」
強気な微笑みに甘い痛みが駆け抜ける。首元で輝くネックレスを手に取り優しく口づけると、満足気に綻ぶ唇から愛の台詞が紡がれた。
＿＿＿ああ、ほらやっぱり。
私の王子様はずっと昔から君だった。
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惠音(プロフ) - mbftmmさん» 嬉しすぎるお言葉ありがとうございます！独特な書き方をどう感じてもらえるか不安だったんですけど、そう言っていただけて本当に嬉しいです....！まだまだ物語は続きますので、最後までお付き合い頂けると幸いです！！ (10月12日 10時) (
レス) id: eb865940ec (このIDを非表示/違反報告)
惠音(プロフ) - yokyo586さん» 励みのお言葉ありがとうございます！影山くんとのお話だけど、月島くんの良さを出来る限り表現していきたいと思いまして....！幸せだけじゃなくて切なくて辛い感じとか、リアルな恋愛を書くよう心掛けていますので....そのへんも楽しんで頂けたら幸いです！ (10月12日 10時) (レス) id: eb865940ec (このIDを非表示/違反報告)
mbftmm(プロフ) - 主様は天才ですか？天才ですね？きゅん死寸前です……言葉の綴り方も上手で世界に入り込んでしまう…！！！応援してます！！！！！！ (10月12日 0時) (レス) @page11 id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)
yokyo586(プロフ) - 切ない···影山大好きなのに、月島を応援したくなっちゃう···読み手の心を鷲掴みに出来る作者様すごすぎます！キャラの心情や背景がすっごく分かりやすくてスっと物語に入れちゃいます！ (10月9日 21時) (レス) @page11 id: 1b6531e2bb (このIDを非表示/違反報告)
惠音(プロフ) - まゆ華さん» この作品を見つけてくださってありがとうございます！面白いと言ってもらえて嬉しいです....！これからも楽しんでもらえるように頑張りますので、よろしくお願いします！ (10月4日 20時) (レス) id: eb865940ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：惠音
| 作成日時：2023年9月30日 19時
