検索窓
今日:6 hit、昨日:29 hit、合計:741,527 hit

24 ページ25

『ここは...』

宿「ここか?俺の生得領域だ。俺が消えない限り永久に存在し続ける、
  俺だけの空間だ。なに安心しろ、俺が許可したものしか入ってこれぬ」



突然現れた景色に、私は恐る恐る彼に尋ねる。



なるほど、自分で生み出している空間...

ということは


『...所謂あなたの頭の中、ってことかしら』

宿「クック...惜しいが、やはりお前は賢いな」

随分機嫌がいいのか、素直にほめてくる彼に
なんだかくすぐったさを感じる。




そんな私をよそに、彼はフッと笑いをこぼすと

ふわりと骨の山から飛び降り

私の前に着地した。





宿「お前は、本当に賢い。賢いが故に、大層この世は生きづらかっただろう」


そういって私と視線を絡ませる宿儺は、もう笑ってはいなかった。





その言葉に動揺し

私はこれでもかというくらい、目を見開く。


本当に、どうしてしまったんだこの物の怪は。

今目の前にいるのは本当に、
いつも人の不幸を愉快と捉え楽しんでいた両面宿儺なのか?





しかし

いつもと違う宿儺に違和感を覚え
訝し気に見つめる私をよそに


彼は静かに話し始めた。








宿「俺はもうそろそろ眠る。お前とは暫く会えんだろう。」




【眠る】



この言葉が意味することを理解するのに、
私は時間を要した。

彼はしかし、その情報を処理するのを待たずして
そのまま話を続ける。



宿「だから、童。お前に餞別をやろう」




餞別。





その言葉で、漸く彼が別れを告げに来たことを確信した。








宿「有難く思え。お前に、【未来】を与えてやる」




これは呪いだ。
賢いやつも【生き易い】未来を約束した呪いだ。

今まで楽しませてくれた褒美だ。


彼はそう続けるとゆっくりと私の額に指をあてた。

25→←23



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (654 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
979人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 宿儺 , 両面宿儺
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ゆりあ(プロフ) - 最高に面白かったです!二人の関係性から、彼女の心情の変化、特にラストの締めくくり方が凄くジーンときました。素敵なお話をありがとうございます! (2020年12月29日 10時) (レス) id: 45a22d77c5 (このIDを非表示/違反報告)
しゅがー(プロフ) - 面白くて一気に見ちゃいました!笑源氏物語にも興味が湧きました!続編楽しみにしています! (2020年12月21日 22時) (レス) id: 13895ddbea (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すごく面白かったです!続編楽しみにしてます!頑張ってください、 (2020年12月21日 20時) (レス) id: 8f9f2425a1 (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯 - 一話から最終話まで一気見しました!ここまで真剣に読んだのは初めてですw 続編も頑張ってください! (2020年12月21日 18時) (レス) id: 0253c03d6e (このIDを非表示/違反報告)
ミズカ(プロフ) - 続編嬉しいです!ありがとうございます! (2020年12月21日 18時) (レス) id: 9ec620cc69 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:アイコ | 作成日時:2020年12月18日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。