私の宿り木 【両面宿儺】

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最初の頃こそ、

今度こそ私の居場所を掴めなかったのだろうと

あの物の怪にもできぬことがあるのだと

内心勝ったような気持ちでいた。



しかし、それが2年3年と続くと

不安を感じるようになっていった。


もしやどこかでくたばったのだろうかと
胸がギュッと締め付けられる日もあった。

しかし、その度に都で宿儺が現れたという噂をきくと
ほっと安堵し、胸を撫で下ろす。

この繰り返しだった。



なぜ、安堵しているのかはわからない。

宿儺が出現するということは、即ち誰かが死んだということだ。喜ぶなんて、不謹慎にも程がある。


では、なぜ？


賢いと言われる私は、
多くの本から知識を得て学び
答えられぬことなど殆どないとまで言われているのに


いまだに、貴方の言葉や存在に対する疑問は
一つも解決していない。


それどころか、増えていくばかりだ。






もしや、私は彼のことを…

そこまで考え慌てて頭を振る。


そんなわけがない。
彼は、私の家族を殺し私をどん底に追い詰めた化物だ。

そして、いつか私を殺してくれるだろう物の怪なのだ…




どこかそわそわしながら、

結婚して4年目、19の誕生日が過ぎていった。

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