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カタカタコトコト、シチューじゃないよ。 ページ5




さてはて、ここで私の異能力の説明を挟もう。

「小さき生命」は、平塚らいてふの著作集に記録してあるものの一つ。

私はこの「小さき生命」を、「原子」又は「分子」として見なした。

原子や分子を操れば、密度を変えられる。

空気は水に、水は氷に、逆もしかり。

で、そのついでで、大きさも変えられる。

石は岩に、私は小人に、逆もしかり。

ただし、条件がある。

「操れるのは、周囲20メートルの円以内」

うん、なかなか良いと思う。

強すぎず、弱すぎず。

ひとり頷いていると、それまで何度か氷の壁にアタックしていた虎は諦めたらしい。

くるりと踵を返して、向かうは最推しの目の前。


「…そこの麗しいお嬢さん、しばらくそこにいてくれ給え」


…えっ、麗しいお嬢さんって……私…?

いやいやまさかまさか。


「私は武装探偵社員だ、ご心配なく!お隣の倉庫のお嬢さん!!」


私だァァァァァァ!!!!!!

脳みそがショートを起こしているのに、

私の網膜は彼の長い脚が形作るシルエットを映す。


「虎に殺されるというのも、悪くない最期だけれど…」


ぴん、と空気が張る。


「君では私を殺せない」


唇が動く。


「異能力……【人間失格】」


青い閃光がその場を包んだ。

瞬間、虎が敦君に戻る。


「私の能力は、あらゆる他の能力を、触れただけで無効化する」


敦君が倒れ込むが、

最推しは…太宰さんは、それを突き放す。


「男と抱き合う趣味は〜、ないッ!」


うわぁ、痛そうな音した。

そして、くるりとこちらを向く。

僅か十数歩で、私の目の前まで来る。

…足なげぇ、顔が良い。


「お怪我は?」


………………へ。


「…アリマセン」


カタコトすぎて泣きたい。


「おい、太宰!!ここじゃないのか!?」


「あ、隣だよ、となりィ〜」


やっべ。

二推しが来る、来てしまう。

マジで文ストキャラの顔って国宝だと思うわ。→←【悲報】異能とキャラ(人格)が決定しました



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作者名:れれりるれよ。 | 作成日時:2023年10月5日 21時

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