大事なことは繰り返して言いましょう。 ページ20
、
怖いほどきれいな笑顔を浮かべた最推しの唇が動く。
「何してたと思う？」
「へ？」
「何ね、定番なのだよ。新入りは先輩の前職を中てるのさ」
そんなこんなで、前職中て遊戯が始まった。
ここで私が思考するべきなのが、
不自然な正解をしないこと。
仮に正解したとしても、理由付けをちゃんとすること。
「谷崎さんと妹さんは…学生？」
「ワタクシもそう思いマス」
「おっ、中ッた。凄い」
「どうしてお分りに？」
「ナオミさんは制服から見たまンま。谷崎さんのほうも…齢が近そうだし勘で」
「谷崎サンは、指に痕がありマス。シャーペンか何かでできたと思われマスね」
「観察眼凄い…」
「入社試験も見抜いてらッしゃいましたわね！」
「社員の顔や名前まで把握しているのに、目当てである社長の出張を知らない。
それが不自然すぎると思っただけデス」
ほー、と納得したように敦君が頷く。
漫画読んでアニメも見てたから分かったなんて言えない。
「やるねェ、じゃあ国木田君は？」
「止せ！俺の前職など如何でも…」
敦君は首を捻り、考える。
ピコーンと音がした…気がした。
いやしてないけど、実際にそんな感じだった。
かわいいぞこの18歳。
「お役人さん？」
「惜しい！平塚ちゃんは？」
「数学の教師」
これは即答して大丈夫なやつでしょ。
「なッ！！」
「大正解！どうしてそう思ッたンだい？」
「雰囲気から何となく…デスカネ。時間に厳しいし、几帳面デスし」
あー確かに、それっぽい…とまたも敦君が頷く。
漫画やアニメ見てたから分かったなんて言えない。(２回目)
口が裂けても言えない。
特に……
「じゃ、私は？」
ニコニコと薄っぺらい笑みを浮かべる、
最推しには。
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作者名：れれりるれよ。 | 作成日時：2023年10月5日 21時
