いつも眠りたい少女。【イナオリ】 (ページ42)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:6,181 hit

USB ページ42

私は一哉と別れた後、ベルナルドに用意してもらったマンションに向かった。
　「家賃高そうだしいいよ」と断ったものの、
　「家賃も払う、欲しいものがあったら言え」と却下されてしまった。

　その後ろで新条も呆れてた。今度文句言ってやろうかな。

　超高層マンション。最上階が36階のマンションの最上階、しかも一番いい部屋。
　見晴らしは最高だが、高所恐怖所の奴を呼べない部屋。

　ドアを開け、部屋に入る。廊下を一直線に進みリビングへ向かう。
　リビングとキッチンをつなぐカウンター席に座り、パソコンを開く。

　正直部屋でもいいのだが、こっちのほうがインターネットの設備は充実してる。

　セレナ「あの人も人使い荒いなぁ・・・」

　パソコンにベルナルドから預かったUSBを指し、ホーム画面を開く。
　表示されたフォルダをクリックして開き内容を確認する。

　『ロシアチームパーフェクトスパーク』

　この文字が意味する事は「次の活動先はロシアチーム」だということ。
　しかし今回はチーム内に直接は入れない。

　この右頬の刻印を見られてしまえば、一瞬でばれてしまうからだ。
　今回はベルナルドの元でイレブンバンドをハッキングし乗っ取り、彼らを
　操る作戦のようだ。

　ハッキングは簡単にできるものの、あまり気分の良いもんではない。
　私の技術さえあれば、国家事項のハッキングなんて簡単だからだ。

　セレナ「さて、気を取り直してっと」

　素早くタイピングし、ロシアチームの今回のポジションをチェックする。
　そして今回の計画の内容もだ。

　セレナ「(もしかして・・・)」

　私はベルナルドの思惑を感じ取り、パソコンから視線をずらし上を向いた。
　今回の作戦で、フロイは確実に心に傷を負い、更にオリオンへ反旗を覆そうと
　立ち上がるはずだ。

　ベルナルドもベルナルドだ。大切な弟をこんな戦いに連れ込むなんてな。

　ブーブー

　スマホがポケットの中で揺れた。その画面には「一ノ瀬一哉」の文字があった。
　私はその電話を無視することにした。ここで変にバレては作戦が成功しなくなる。

　セレナ(奏)「(すまないね・・・一哉。この戦いが終わったら絶対に君達の
　もとへ帰る。その時君達に拒絶されようが何だろうが、絶対に君達を
　巻き込みたくないんだ。だから・・・)」

　セレナの目から、一筋の光が落ちた。