拒否と擁護 ページ20
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須貝さんから告白されて数日。私的に状況は悪いと思う。何がって、単純に気まずい。
あの日、あの後、駅までの数メートルをどうやって帰ったかも覚えていないし、1人になった電車の中の記憶もそんなにない。そもそも須貝さんに告白されたという事実が信じられなくて、しばらく動揺していたし、何なら今もしている。
私のことをそんな風に思ってくれているなんて、考えたこともなかった。ただの後輩として可愛がってくれているだけだと思っていた。私も同じように仲のいい、よくしてくれる先輩のような友達のような、そんな感覚だった。
でも、動揺しながらも、しっかりと残っている記憶が1つ。代わりにしていいよ、って言われて、代わりにしたくない、って答えたこと。
好きだった、というか今も好きな元彼の代わりになんて、須貝さんとの関係をそんな風にしたくないって思った。このあと、私はどうするのが正解だろうか。オフィスへ向かう電車の中で、今日が、1番憂鬱な時間かもしれない。
オフィスに着けば、須貝さんと福良さんがいた。2人きりにならない状況に安心して、挨拶をしながら部屋の奥に進めば、ソファに座っていた須貝さんと目があって、思わず目をそらす。
「もりちゃん、今日の撮影なんだけど、」
今日の撮影する内容や、メンバーについて話してくれる福良さんに安堵しながら、会話を続けて。なんとなく静かな空間になりたくなくて、話題を広げてみたりなんかして。
大体の話が終わって、福良さんが、俺一瞬コンビニ行ってきてもいい？なんて。私行きましょうか、なんて声を掛けてみたけれど、俺がいるもの買いに行くだけだから大丈夫って言われた。……2人きりになってしまった。
「もりちゃん」
『はい、』
「これまで通りにしない…？」
『そう、ですよね』
「まあ、俺のせいだよな」
『あ、えっと、いや』
「しばらくしたら、また飲みにでも行こ」
『はい、』
こんな会話をしても尚、空気が重い、気がする。前までは、2人になってもずっと話してたのに、この空気を作ってるのは、私、かな。
でも、まだ気持ちの整理がついていなくて。
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作者名：エンスイ | 作成日時：2021年3月12日 17時
