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彼女に連れられて来たお店は、大学から割とすぐの場所にあるのに、初めて来る場所だった。お昼時が過ぎたこともあってか、お店はだいぶ空いている。
目の前の彼女はメニューを見ながら、何やら先ほどから悩んでいて。いつも割と即決なのに、珍しいな、なんて。
「何で悩んでんの？」
『パスタにするか、ピザにするか』
「あ、2択とかでもないんだ」
『いや、違います。2択は2択なんですよ』
パスタが食べたいと言っていたから、てっきりパスタを頼むのかと思っていれば、彼女はここに来て、ピザにも惹かれているらしい。
まだその段階なんだ、なんて笑えば、否定の言葉とピザならこれで、パスタならこれってのは決まってますよ！なんて、言葉が返ってきた。
「じゃあ、それどっちも頼もうよ、半分しよ。」
『え。いいんですか』
「俺も両方食べたいし」
『えー！やったー！』
シェアしよ、なんて提案をすれば喜んでくれて、安心する。まあ、ピザなんてシェアするものでしょ、みたいな感覚を持ってるみたいなところもあって、自然な流れかな、なんて余計なことまで考えてしまった。
先に運ばれてきたセットのサラダを口に入れながら、お腹すいたー、なんて言う彼女の行動と合ってない発言に笑ったりしながら、いい昼下がりだな、なんて。
「もりちゃんは今日何用だったの？」
『ちょっと研究室に用があって」
「あー、なるほどね」
そのあと少し彼女の研究内容について聞いたりして。文系の彼女と理系の俺では、当たり前だが全く研究分野が異なる。自分が全く知らない世界の話を聞くのも、興味深いものだな、と彼女と話していると改めて思う。
そうしていれば、料理が運ばれてきて。ピザに添えられていたピザカッターで6等分くらいに切り分ければ、彼女はパスタを取り分け皿に分けてくれていた。
『はい、どーぞ』
「ありがと」
『ふふ、おいしそう。両方食べれるの幸せですね』
そう嬉しそうに笑う彼女と一緒に手を合わせて。いただきます、なんて言葉を発して。2つを2人で分け合うのもいいものだな、なんて。
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作者名：エンスイ | 作成日時：2021年3月12日 17時
