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取り出したPCで原稿用のソフトを立ち上げて。お決まりの一文目を書き出す。今日書き出した記事のテーマは、私の得意分野についてで、すらすらと記事が進む。

時々言葉や言い回しについて調べたりしながら、文章を書き進めれば、時間はあっという間に過ぎていく。ひと段落ついたところで、ぐーっと伸びをして、時間を確認すれば、あっという間に夕方。

夕方から撮影のお手伝いして欲しいと言われていたんだった。もう少し時間があるから、一旦コーヒーでも入れて、あとちょっと作業をしようと思って、席を立つ。


キッチンに行って、お湯を沸かして。置いてある自分用のカップを置いて、ドリッパーにフィルターを被せて、粉を1杯半。上からお湯を注いでいけば、さらに深くコーヒーが香る。

いい香りがしてきた、なんて思いながら待っているこの時間が好きだったりする。これ終わったら今日もあと少し頑張ろうなんて思って。



「なに、めっちゃコーヒーの匂いする」



そう突然後ろから聞こえて、振り返ればキッチンを覗く伊沢さんがいてびっくりする。わっ、なんて声を出してしまえば、あ、わり、驚かせるつもりなかった…なんて言われて。

木戸いつもそうやってコーヒー淹れてるの?って聞かれるから、1回これで飲んじゃったら手間かけてでもこうしたくなっちゃって、なんて答える。インスタントもおいしいんだけれども。



「確かに、それはそうだな。今度自分のついでに俺のも淹れてよ」

『え!いいですよ。言ってください』



じゃあ木戸がいる日に俺もデスクで作業してないとな、なんて言われて。今度出社が重なってる時があったら、淹れて、持っていこなんてそれが楽しみになって。

あ、今日撮影手伝ってくれんだよね、よろしくね、なんて言って去っていくから、返事をして。すっかりドリップし終わったコーヒーが入ったカップを持って。ひとくちコーヒーを啜りながら、私にやけてないかな、なんて。






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作者名:エンスイ | 作成日時:2021年2月21日 20時

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