【QK】ジンジャークッキーと流星群【短編集】

一杯目は一緒に / ymmt ページ49

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「はい、これあげる」

『あ！ホワイトデー？』



彼が家にやって来てすぐに渡された紙袋を受け取りながら、本日のイベントごとの名前を出してみれば、もうちょっと可愛い反応しなよって言われた。

逆に、祥彰ありがとう、はあと、みたいな喋り方しても今更気持ち悪いでしょ、なんて思って1人で笑えば、何？なんて言われるから、思った言葉をそのまま言えば、案の定愕然として、ごめんって笑われた。ほらみた。

紙袋を開いて、箱を取り出して開ければ、出てきたものは銀色の缶が2つ。てっきりお菓子か何かかと思っていたので、予想外のものが出てきて驚く。



『………紅茶、とお茶？』

「そう。Aティーポットも急須も持ってなかった？」

『ある』

「こんなの好きなイメージだったから」

『へへ、ありがと』



紅茶をティーバッグのものではなくて、茶葉で買ったり、最近はお茶も気に入った茶葉を見つけて飲んだりしている。

そんな話を確かに祥彰にもしたことがあって。ホワイトデーのお返しにくれるなんて、嬉しいな、なんて思ったりして。ちょっと時間がある時とか、大切な時にゆっくり飲んでいこうかな、とか考えたりして。



『これ、今淹れてもいい？』

「いいよ。僕にも淹れてよ」

『もちろん。どっちがいい？』

「そこはおまかせする」



そう言われて、急須を取り出して。茶葉を入れてお湯を注ぐ。冷蔵庫に貰ったカステラがあったのを思い出して切り分けて持っていって。

カステラなんて久しぶりに食べるなんて言っている祥彰と、なかなか食べる機会もないよね、なんて話をしながら食べ進めて。



『このお茶おいしい』

「ね、僕も思った」

『紅茶も今日の夜淹れようかな』

「1日に両方飲むの？(笑)」

『だって、最初は一緒がいいじゃん〜』



わざわざ今日飲まなくても、明日とか次の休日とかにゆっくり飲んでもいいのだけれど。渡してくれた日に一緒に飲んでみたいな、とか思ったりして。

思ったことを言えば、ほんとにAってさあ、なんてちょっと照れたように笑っている祥彰。ん？、と首を傾げれば、だからモテるんだよね、なんて言われた。それ、褒められてる……？





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