その感情の正体とは / kwmr ページ41
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Side kwmr
『担当してる患者の子がQuizKnock好きらしくて、』
夕食を食べ終わって、僕はソファに座って、彼女はソファを背もたれにして。お互いしたいことをしていれば、彼女が突然口を開いて。
彼女から仕事の話はよく聞くが、この話題は初めてだな、なんて話の続きに、軽く相槌を打ちながら耳を傾ける。
その子は小学生の女の子らしいが、病室でよく僕たちの動画を見てくれているらしい。何とも有難いことだ。それで、担当医の彼女にもよくその話をしてくる、と。
『拓哉が好きなんだって』
「ああ、QuizKnockで?」
『そう。今日知ったんだよ、そのこと。』
「それで、その人先生の彼氏だよって、言ったの?」
『言えるわけないでしょ(笑)』
聞いた感情はまあふざけてはいたが、声のトーンは至って真面目に聞けば、半笑いで僕の方を見上げて、否定の言葉が返ってきた。
それでー?なんて、きっとまだ続くであろう話のさらに続きを促してみれば、ローテーブルに置いてあったマグカップをとって、口に当てていて。
『不思議な感情だった、なんか』
「動画?さすがに見慣れたでしょ」
『んー、いや、なんか拓哉の画像見せられて、この人が好きなの!って言われる感じとか』
「帰ったらその人いるしね」
まあ、僕がこうして人に見られるようなことをする前から、知っている訳だから、そう思うのは当然だろう。まして、こんな近くにいる存在で。
不思議な感情だった、なんて彼女はごまかしたけれど、僕はその正体に気付いているし、まあ恐らく彼女も大方分かっているんだろうなって。
「A、それ嫉妬って言うんだよ」
『小学生に嫉妬しないよ』
言葉をストレートに発してみれば、綺麗なお姉さんならまだしも、という言葉まで付け加えて、答えが返ってきた。その割に、納得してないみたいな顔してるけど、なんて言葉にはしないでおくが。
付き合いはじめて、もうだいぶ経つと言うのに、まだそんな感情を出してくれる事実は、嬉しいもので。
「素直になりなよ」
『嫉妬じゃないって、ただ、』
「ただ?」
『…………わたしの、なのになーって思っただけ』
揶揄うように煽ってみれば、返ってきた言葉に緩んだ口のまま軽く笑えば、もうお風呂入ってくる、なんて。
かわいいなーって思っただけだよ。
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エンスイ(プロフ) - ちひろさん» コメントありがとうございます!リクエストは受け付けているのですが、今書いているメンバーでいただけたらと思っており、tmrさんは私自身も雰囲気等あまり理解できていない部分もあり難しいかもしれないです……。今後機会があれば書かせてください…! (2021年2月22日 2時) (レス) id: 275b77238f (このIDを非表示/違反報告)
ちひろ - はじめまして、いつも読ませていただいてます。リクエストなんですが、tmrさんを出来ますか?出来たらよろしくお願いします。これからも頑張って下さい。 (2021年2月20日 23時) (レス) id: 192c096d22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エンスイ | 作成日時:2021年2月17日 12時