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『……どしたの、拳くん』
やっと絞り出した言葉は、それしか出てこなくて。少し笑った彼はラグから立ち上がって、こちらに歩いてきて、頬に手を当てられてゆっくり撫でられる。
この包み込むような手と、少し見上げた先に見える顔と、私を見つめる優しい目と、全てが目の前に拳くんがいるって事実を私に突きつけていて。
「昨日、A何か変だったから。なんかあった？」
電話で彼女が少し変だなって思ったら翌日には家に来てくれるところとか、こんな時だけ呼び捨てで呼ぶところとか、全てが私を安心させてくれる要素でしかなくて。
ああまた泣いちゃいそうだ、なんて思って目の前の腰に腕を回して顔を埋めれば、きちんと受け止めてくれて、頭を撫でてくれる。その状態でなんでもないよ、なんて。
「ええ、状況と言葉が合ってないんですけど、」
『ほんとになんでもない、っ』
「ふふ、そっか」
そう言ってその先何も聞かないでいてくれるところは、彼の優しさか全部わかってるってことか。そのまま久しぶりだね、会いたかった、なんて、わたしもだよって。
あと昨日声聞いたら会いたくなっちゃって、とか言ってくれるから、抱きついてた腕を少し強くすれば、上から笑われた。
『拳くん、すきだよ』
「うん俺も好き」
『だいすき』
「じゃあ、俺は愛してるかなー」
そんなことを言いながら、一定のリズムで頭を撫でてくれることに安心して。顔をあげて涙を拭ったのに触れないでいてくれるところが、何故だか嬉しくて。そのまま、Aちゃん何か食べよーよなんてキッチンの方へ歩いていくから、後ろからもう一度抱きつけば。
「わっ、もう今日随分甘えたじゃん」
そう笑われて。ちゃんと回した手に彼の手を重ねてくれるから。ありがと、なんて呟けば、どういたしまして、なんて返ってくるんだ。ああもう離れたくないな。なんて。
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エンスイ(プロフ) - ちひろさん» コメントありがとうございます！リクエストは受け付けているのですが、今書いているメンバーでいただけたらと思っており、tmrさんは私自身も雰囲気等あまり理解できていない部分もあり難しいかもしれないです……。今後機会があれば書かせてください…！ (2021年2月22日 2時) (
レス) id: 275b77238f (このIDを非表示/違反報告)
ちひろ - はじめまして、いつも読ませていただいてます。リクエストなんですが、tmrさんを出来ますか？出来たらよろしくお願いします。これからも頑張って下さい。 (2021年2月20日 23時) (レス) id: 192c096d22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エンスイ | 作成日時：2021年2月17日 12時
