【QK】ジンジャークッキーと流星群【短編集】

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大人しく撮影で使ったものとか、みんなの私物とか置いてあるところにやって来たAに、どっちがいい？なんて2種類出せば、こっちにしますー、なんて取って。じゃあ、おれはこっちにしよ。

ありがとうございます、なんて出ていこうとする彼女の腕を掴んで、抱きしめれば。うん、濡れたTシャツが張り付く感じ。



『うわ、気持ち悪い』

「彼氏に向かってなんてこと言うの」

『もっと濡れるってことですよ』

「着替えるんでしょ、どうせ」

『そうですけど』



そう言うAは、俺から抜け出したと思えばパーカーを被って、Tシャツをそこから器用に抜いて。そんなに暗いのだめだっけ、なんて聞けば、暗いのというより雷とのダブルパンチが無理です、なんて。

なんでこうちゃんだったの、しかもソファで、なんて言えば、え？なんて驚いた顔で。ソファで作業してた流れとか、こうちゃんがたまたま隣で一緒に作業してただけとか。そんなのを聞いていれば、彼女が俺の顔を覗き込んできて。



『………もしかして、妬いたの？』

「………………悪い？」



こんな時だけ敬語外して。最近オフィスでいちゃつきすぎて慣れてきた？なんて。妬いたけど何か？なんて顔すれば、照れたように笑って、えっ、そっかあ、なんて。

何で喜んでんだよ、ええ、かわいいね、拓司くんなんて。かわいくないだろって。そう言いながら、腕が埋まってしまっただいぶ長い袖を、顔にあてて。



『拓司くんの匂いするから、1人でも頑張れそうです』



ああ、もうほんとに。両手を伸ばして思いっきりフードを被せてやれば、わあっなんて声をあげて首を窄めるから、そのまま下から掬い上げるように、キスをして。






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