探るための15の会話 ページ6
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Side ymmt
いつもの暖簾をくぐり、いつもの席にたどり着けば彼女はまだいなかった。今日も見知った店員さんに案内されたものだから、てっきり着いてるものだと思っていたけれど。
まあ、そんなこともあるかな、と思って適当な料理と自分の分の飲み物を頼んで。彼女には、着いたよいつもの席にいる、なんてメッセージをひとつ送りつけておいて。
グラスの飲み物が1/3くらい減ったころ、彼女が店の入り口の方から歩いてくるのが見えた。何かいつもより、ちゃんとした格好してるな、何かあったのだろうか。
『おまたせ〜！』
「15分も待ってないよ。何飲む？」
『ハイボール！』
いつも通りの言葉が返ってきたので、店員を呼んで。彼女の分の飲み物を頼めば、テーブルを見渡した彼女が、あと梅水晶ひとつ、なんてひとこと。そういえば、それ好きだったね、いつも頼んであるわ確かに。
彼女の飲み物が到着する前に、服装に触れれば、今日は取引先との月1の打ち合わせでさー、なんて言葉が返ってきて。普段はパーカーとか着て会社行くくせに、そんなちゃんとした服着る日もあるんだね、と言えば、さすがにジャケットくらい着ておかないとねーと返ってきた。
男はスーツ着ればいいけど、女性って難しいよな、なんてふと思っていれば、彼女の飲み物が到着して、軽く2人で乾杯をして。
「今日はどうしたの、新しい男できた？」
『まさか、さすがに早すぎでしょ』
「Aなら有り得るかなって」
『私のこと何だと思ってんの？(笑)ただ、祥彰と飲みたくて〜』
ひとまずその言葉に安心して、なんで僕と飲みたくなったんだろうな、なんて理由まで聞き出してしまいたくなるが、そんなこと聞くのは女々しいだろうか。
ぼーっと、彼女がいつものペースで飲み続けるのを見ていれば、なに？何かついてる？なんて聞かれて、いや、なんて笑う。
『祥彰こそ、最近忙しそうじゃん』
「まあ、そーうね、」
『人気者でしょ？モテそう』
「人気者って(笑)モテないよ」
『またまたあー』
僕はAにだけモテたいのに、なんてそんな言葉は言えずに、氷に溶けて混じった最後の一口を飲むために、グラスを傾けて。
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エンスイ(プロフ) - るるさん» コメントありがとうございます！数字が入っているのは私もお気に入りで、そんな風に感想いただけると非常に嬉しいです！短編集もお付き合いいただけると幸いです……！ (2021年2月22日 2時) (
レス) id: 275b77238f (このIDを非表示/違反報告)
るる - すっごくおもしろかったです！毎回数字が題名に入ってるのが好きです。短編集も読みます！ (2021年2月16日 21時) (レス) id: 253053fedc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エンスイ | 作成日時：2021年2月8日 14時
