きみと出会って20年 ページ1
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Side ymmt
何度目か分からない通い慣れた居酒屋の暖簾をくぐり、待ち合わせと伝えれば顔見知りの店員が現れ、にこやかに奥の方の席へと案内される。ここへ来る時はいつも、この1番奥の席。
そこへ向かえば、見知った顔が既に座っていて。テーブルには何点か料理と彼女の片手には恐らくハイボールのグラス。
「おまたせ」
『あ、祥彰！おつかれ〜！』
「なに、もう出来上がってんの」
『まさか、まだまだですうー』
何飲む？なんてメニューを渡してくる彼女と出会ってもう20年。実家は近所で、休日の公園でたまたま一緒に遊ぶようになったことがきっかけ。小中は同じ学校へ通い、親同士も仲が良くて、当時から家族ぐるみの付き合いだ。
高校、大学と別々の学校に進んだ僕たちだったけれど、彼女が大学で都内に出てきてそのまま、都内で就職し1人暮らしするようになってからは、数ヶ月に1.2回こうして2人で会っている。
会うタイミングを決めているわけではなくて、どちらかが連絡をして、じゃあこの日にしようか、なんて決まっていくわけだが、今日は彼女からの連絡がはじまりだった。
内容は、話したいことがあります！早急に相手してください！とのことで。彼女がこの手の内容を僕に送ってくる時は、決まって同じ内容で。
「で？どうしたの、大体予想ついてるけど」
『えー？じゃあ今回はどっちだと思う？』
「Aから振ったの？」
『残念、振られました』
「え、珍しいね」
きっと誰がどう見たって恋愛体質のこの人は、彼氏と別れた時に大体僕を誘う。もちろん付き合ってる時に、会わないこともないのだけれど、彼女から呼び出されるタイミングが決まってそのタイミングで、ここ数年は会う前から予想がついている。
「今回の人は、会社の人だっけ」
『そう、みーっつ上かな、』
「理由は？」
『私との結婚は考えられなかった』
「なーるほど、」
大体別れた理由まではよく聞くが、結婚というワードが出てきたことは初めてで。そうだよな、そんな年齢だよな、なんて彼女の結婚が一気に現実味を増してきて、なんとも言えない反応になってしまった。
『ま、私もまだ結婚する気ないんだけどねー』
その一言に少し安心してしまった僕は。
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エンスイ(プロフ) - るるさん» コメントありがとうございます！数字が入っているのは私もお気に入りで、そんな風に感想いただけると非常に嬉しいです！短編集もお付き合いいただけると幸いです……！ (2021年2月22日 2時) (
レス) id: 275b77238f (このIDを非表示/違反報告)
るる - すっごくおもしろかったです！毎回数字が題名に入ってるのが好きです。短編集も読みます！ (2021年2月16日 21時) (レス) id: 253053fedc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エンスイ | 作成日時：2021年2月8日 14時
