溶けてしまう時間 ページ8
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本格的な夏。
連日、猛暑と言われるのは今年も例外ではない。
半分外のお気に入りの場所も、風通しがあるとはいえ、15分もすれば汗ばんできてしまうほどだ。
そんな環境の中、向かってしまうのは、
今日はふくらさんがいる気がするから。
気がするだけで、いないかもしれないのは、いつものことではあるが、行く道で通り過ぎる自販機に、アイスの自販機を見つけて、箱に入ったアイスを2つ買う。
いつだか、飲み物を差し入れしてくれたことを思い出しながら、箱を2つ持って扉を開ける。
『あ、おはよ』
「おはよ〜」
『はい、あげる』
「え、アイスじゃん、やったー!」
扉を開ければ定位置にやっぱりふくらさんがいて。
あれから、すっかり敬語も抜けてしまって、
気軽に話せるようになっていた。
長方形の箱アイスを差し出せば、
よろこんでくれたみたいで、
小さい箱をぺりぺりと開封している。
2人で小さめのモナカを食べながら、
向かい合って話す内容は相変わらず中身のないことだけれど。
『あ、こないだ動画見たよ』
「え、ほんとに?ありがとう、どれだろう?」
『パズル対決してた』
「あーーーっ、俺が活躍してるやつでしょ?(笑)」
『そうそう(笑)すごすぎて、いっかい、頭の中覗いてみたい』
「ははっ、(笑)そんなこと言ったら、俺だってAさんの頭の中覗いてみたいけどね?」
お互い笑い合いながら会話して、
この空間が楽しかったりするなあなんて思って。
この時間や空間が、日常の嫌なことだったり、
考えてしまうことだったりを、忘れさせてくれる。
そんな気がしてた。
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エンスイ(プロフ) - しほうさん» コメントありがとうございます…!fkrさんも主人公もどちらも好きでいてくださるコメントでとてもありがたいです(T_T ) 読んでいただきありがとうございました! (2021年4月21日 14時) (レス) id: 275b77238f (このIDを非表示/違反報告)
しほう(プロフ) - めちゃっくちゃ面白かったです。fkrさんの優しさやある種の男らしさ、主人公さんの覚悟に胸がぎゅうっとにりました。読後の余韻がすごい…。素敵な作品を、どうもありがとうございました。 (2021年4月21日 10時) (レス) id: 5a9db02a2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エンスイ | 作成日時:2021年1月28日 0時