きみの幸せが続くことを願って ページ31
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Side fkr
ライブが終わったあと、俺はAちゃんの家にいた。
もともと、家で待ってるね、なんて話はしていなかったけれど、いた方がいい気がしたっていうのと。
会いたかったのもあるけれど。
そんなことを思いながら過ごしていれば、玄関の扉が開く音。
帰ってきたかなと思ってしばらく待っていたけれど、全然リビングに入ってこないのを不思議に思って、玄関まで様子を見に行ってみれば。
玄関で座り込んで、泣いているAちゃん。
やっぱり泣くの我慢してたかな、なんて思って声を掛ける。
「おかえり、おつかれさま」
その言葉にぱっと顔を上げて、俺の顔を見つめる彼女。
しゃがみ込んで目線を合わせれば、目にいっぱい涙を溜めて、溢れているのを手でぬぐいながら。
頭の後ろに手を入れて、優しく引き寄せれば。
俺のTシャツを掴んで、そのまま声をあげて泣くAちゃん。
ゆっくり、頭を撫でてあげて。
『っ、ふあっ、け、ん、くん、っ、』
「んー?」
『なんっで、いる、の、っ』
「この状態で帰ってくる気がしたから、?」
『ううっ、ん、あり、が、と』
彼女が落ち着くまでは、抱きしめたままでいようと思って。
君の大好きだった3年間の幸せが、今後もずっと誰かの心の中で残り続けますように。
今君のことで頭がいっぱいな日本中の誰かが、いつか君のことを心の片隅にやってしまったって、ステージの上で輝いていた姿はずっと、俺の中心にあるからね。
そんなことを思いながら、これからのきみとの人生をどう歩んでいこうか、なんて。
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エンスイ(プロフ) - しほうさん» コメントありがとうございます…!fkrさんも主人公もどちらも好きでいてくださるコメントでとてもありがたいです(T_T ) 読んでいただきありがとうございました! (2021年4月21日 14時) (レス) id: 275b77238f (このIDを非表示/違反報告)
しほう(プロフ) - めちゃっくちゃ面白かったです。fkrさんの優しさやある種の男らしさ、主人公さんの覚悟に胸がぎゅうっとにりました。読後の余韻がすごい…。素敵な作品を、どうもありがとうございました。 (2021年4月21日 10時) (レス) id: 5a9db02a2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エンスイ | 作成日時:2021年1月28日 0時