何も言えない時間 ページ13
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Side fkr
初めて人に話すから、と言った彼女は、まっすぐ見つめる俺から目を逸らして、こちらから少し覗ける彼女の目はずっと不安そうな目をしていて。
『わたしあと、半年で活動辞めるの知ってる？』
突然のその言葉に、俺は思わず戸惑って。
そういえば、Aさんは途中から加入したメンバーで、活動期限がついていたような気もする。
もう、メンバー6人として俺的にも世間的にも、
認知されているように感じるから、
あと半年でメンバー2人が抜けるなんて、
知らない人も多いのではないか。
加入からこれまでの話を、彼女は非常に淡々としてくれた。
事実だからか、そこを話すことに対して、躊躇いや迷いは感じられなかった。
きっと、恐らく、絶対、今話してくれたことに、核心は存在していなくて。
その悩みごとっていうのは、もっと別の場所にあるんだろう、なんて。
『まだ、表舞台に立っていたいなあ、とか』
悩みごとを聞くうちに、そう呟く彼女は、
きっとまだこの世界を辞めたくないし、
自分の意思ではない何かで、辞めることになっている。
ただ本人も1人で活動する選択肢があることもわかっていて、そこへ踏み出す勇気が出ない。
もし自分がそうなったら、どうするだろう。
そんなことを考えて、俺は1人でやっていける自信ないな、なんて思ってしまって。
目の前で、どうしたらいいか分からないんだ、なんて言う彼女になんて言葉をかけたらいいのか、わからなかった。
『答えなんて、自分で見つけなきゃなんだよね、分かってるんだけどね』
俺が答えられないうちに、立ち上がった彼女は、
半ば諦めたように、そう言って。
呼び止めようとしている俺の言葉を遮って、また、なんて言ってこの場から去った。
「救ってあげたいんだけどな」
そう呟く俺の声だけが、ぼそっと響いた。
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エンスイ(プロフ) - しほうさん» コメントありがとうございます…！fkrさんも主人公もどちらも好きでいてくださるコメントでとてもありがたいです(T_T ) 読んでいただきありがとうございました！ (2021年4月21日 14時) (
レス) id: 275b77238f (このIDを非表示/違反報告)
しほう(プロフ) - めちゃっくちゃ面白かったです。fkrさんの優しさやある種の男らしさ、主人公さんの覚悟に胸がぎゅうっとにりました。読後の余韻がすごい…。素敵な作品を、どうもありがとうございました。 (2021年4月21日 10時) (レス) id: 5a9db02a2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エンスイ | 作成日時：2021年1月28日 0時
