2-4 ページ7
.
少しだけ身を引けば、丸くなった目。それがとても可愛くて、思わず笑ってしまった。
「笑ってんじゃね〜よ」
「いたっ……」
軽くデコピンをされる。本当に弾かれた程度の軽いものだったが、こんなことをするのは零しかいない。同い年は遠慮するし、年下なんかはもっとそうだ。恐れ多いってね。
「んで、俺様のものになんのか？」
「零が私のものになってくれるなら」
「ワガママ」
「零だって」
この一年半で私たちは一歩進むことが出来た。それは私たちの関係しかり、私は家族との関わりしかり。零にはワガママだって言える。ワガママを言ってもいいのだと、一年半かけて教えてくれたのだ。俺の事を頼れ、いつでも電話しろ、なんて思っていても実際に行動に移すのは難しい。それを彼は出来るのだ。
「ホントに、ワガママな女王サマ……いや、お前はどっちかっつーと女帝って感じだよな」
「それどういう意味？」
零は体を起こすとうーんと考え始める。私も無い筋肉を使って上半身を立てた。少し時間がかかってしまったが、零にとっては都合が良かったようだ。私がベッドの上に座るのと同時に彼が声を上げた。
「ああ、お前が出ると舞台の全てがお前のものになるからだ」
「……？」
言いたいことは何となくわかるが、そうだろうかと首を傾げる。
「Aが出てる舞台見てて思ったんだが、どんな役者の芝居も生かし、そして自分のために引き立たせることが出来る。その逆も然りだ。ほかの役者の芝居を殺すことも出来る。舞台上の全てはお前に支配されてるんだよ」
ポカーンと口を半開きにするしかなかった。
だって、そんなことできる訳もなくて、普通なら有り得なくて。でも、零が言うならば有り得るかもしれないなんて思って。
「はっ……間抜けな顔。でも、舞台から降りたらお前はただの俺の大事なヤツだけどな」
彼は笑いながら私の鼻を摘むと、さらに不細工になった私の顔面に笑って夜の病院だと言うのに随分と騒がしくしてくれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 371人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
MAKOTO@低浮上(プロフ) - みそらーさん» ありがとうございます！遅筆ですが気長にお待ち頂けますと幸いです……。あまりお待たせしないように更新頑張りますね！ (2023年1月10日 16時) (
レス) id: eb19b3bcad (このIDを非表示/違反報告)
みそらー(プロフ) - 続編おめでとうございます！密かにですが、待っていた甲斐がありました。体調に気をつけて、気が向いたときにでも筆をのらせてくださいませ。応援してます!! (2023年1月10日 3時) (レス) id: 99b3032165 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：MAKOTO@低浮上 | 作者ホームページ：http
作成日時：2023年1月10日 1時
