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宿舎からは少し離れたカフェに立ち入って、充と光はスパゲティを頼んだ。
久しぶりのお出かけ。光はその顔に微笑みをたたえる。
「おい光、さっさと食べるぞ。二人でいるところを学校の奴に見られたらまずいだろ？」
「とか言って、兄ちゃんもさっきの買い物は楽しんでいただろ。何回も試着してさ」
「そ、それは……制服姿で町をうろつくのもなんだから……」
少し頬を染めて視線を彷徨わせる充。
「楽しんでたんじゃなくて、どんな服が自分の身の丈に合うのか見てただけだ」
「でも俺にお揃いの服買ってくれたのは嬉しい。兄ちゃんと一緒だ」
「あ、アリバイ作りのためだからなっ」
それにしては服の枚数が多かった。
言葉にはしないが自分を思ってくれる兄の姿に、光は更に笑みを深めた。
「で、今日も柊を見張るんだろ？」
「うん。一度思い切り脅してやろうかと思ってる」
「離れて行動していても光の考えは分かるし、俺が何を喋ったかも伝わってるとは思うが、あいつ、油断ならないぞ」
「俺も甘く見ているつもりはないよ」
席を立った二人の席には、空になったスパゲッティの皿が一つ残されていた。
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「お待たせしました！」
寮から出てきたAは、門の前で待たせていた明里のもとへ駆け寄った。
「昇君、まだどこかに出かけているみたいですね」
「あは……じゃあ、待たせてもらおうかしら」
そう言われてしまって、Aは周囲のレストランに彼女を案内することにした。
席に座ってメニュー表を開く。
「今日は学校はお休み？」
「明後日からです」
「みんな親元を離れて大変だったでしょうねえ……」
明里の言葉に返しつつも、Aの思考は完全に別の方向に向いていた。
充を迎え撃つ準備はできている。
しかし充……一星充か……。
そういえば、どこかで聞いたような名前だが……。
「……」
まあいい。あとは……鬼道だな。できれば奴の力を借りたい。
まったく、読んでもいない時は勝手に現れるというのに……。
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