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「まとめるとだ。まず柊が一星に刺されたと言っている。言い争ったような録音がある。そして犯行時刻と思われる時間帯に、一星のアリバイがない」
南雲たちも絶句している。
「状況証拠が積まれてるってこった。これから能力者総出で凶器のナイフを探してもいいが、自供したほうがいいんじゃねぇの？」
──やっぱりAちゃんが正しかったんだ。
一度静まり返ったクラスは、その小さな呟きを筆頭に囁き声が漏れ始めた。
一星は考える。
こうなっては、柊を陥れるのはもう無理だな。否認を続けても、次に柊に手を出したら真っ先に疑われる。
これは接し方を変えるべきか……。
柊はただの異常者じゃない。何か秘密を握っているはず……。
「……ああ。やったさ。俺が刺しました」
島にいた時から起きていた殺人事件。
たくさんの憶測や推理が飛び交ったが、結局は人類の敵という見えない何かに終わっていた。それが今。
「犯人」と言う存在が目の前に現れ、クラスは騒然とした。
「た、逮捕だー！」
Aの制服のスカーフをあらかじめ持っていた坂野上が、一星を取り押さえ、後ろ手で縛り上げた。
「よし、一旦お開きだ。対応は明日、大人を交えてやろう」
「……っ」
Aの体がぐらりと揺れた。
「おい、柊！！」
薄れゆく意識の中最後に聞こえたのは、本気で焦っている様子の不動の声だった。
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次にAが目を覚ました時、目の前には見覚えのない白い天井が浮かんでいた。
「病院？」
「俺の部屋だ」
Aに背を向けて座っている不動がぶっきらぼうにそう言った。
「救急車を呼んだが、なぜか来られないって言われちまってな」
Aは脇腹を押さえる。血はもう流れ出ていないようだ。
「……傷は、明王さんが縫ってくれたんですか？」
「……いや？ 縫合用の糸もなくてな。一応栄養剤の注射は打っといた。体調は？」
「ありがとうございます。充さんは？」
「ホールで坂野上が見張ってる」
背を向けたまま、不動はAの服を差し出した。
そういえば下着姿だった。傷口を見てくれたのだから仕方がないが。Aは少し顔を赤らめ、服を着る。
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