寵愛/2(sideニナ) ページ37
……邪魔が入った。
舌打ちは心の中に留めておくとして、目の前の彼を見る。仕方がない、難易度は多少上がるけれど＿＿＿＿目標変更。
「私、部屋の鍵を無くしちゃってぇ…それで、薫先輩が探すのを手伝ってもらってて」
「成る程、成る程……。だからといって、そう安安と男の部屋に入るのは感心せんのう」
その言葉は、嫉妬かしら。それとも私への忠告？
……たとえ、後者だとしても。印象は操作出来る。毒で捕らえて、偽りの愛で仕留めてあげましょう。
首を傾げて、私はあくまできょとんとした表情を作った。
「なんでですか？」
彼は綺麗な笑みを零す。椅子に腰掛けた彼は、おいでと手招きをした。
言われた通りに近づいた刹那、彼が私の手を強く引く。唇がつきそうなほどに距離が近くなって、赤い瞳が間近で艶めいた。
「＿＿＿＿こういうことじゃ」
にやりと赤い唇を歪め、彼は私の頬に手を当てた。
「嬢ちゃんは、ほんに良い香りがするのう。うっかり食べてしまいそうじゃ」
「ふふ、冗談は止めてくださいよぅ。照れちゃいます」
「冗談ではないぞ」
ふいに、真剣な声色で彼は言った。顔をあげると、血を垂らしたような赤色が愛おしいものを見るように細められる。
「嬢ちゃんを捕まえて、大事にしまっておきたいと思ってしまうのは。ちと、我慾が過ぎるかのう。……今は我輩だけを見ておくれ、嬢ちゃん」
その瞳に映っているのは、私だけ。……なぁんだ、その程度なの。私がわざわざ動く必要もなかったじゃない。
それなら、貴方の望み通りに。私の、計画のために。
照れたように、少し困ったように。上目遣いで、彼に笑いかける。 この程度安いものだわ。
満足げに笑った彼は、私の頬に添えた手をそっと滑らせた。吐息のような声が、耳元に落ちる。
「目を閉じておくれ」
瞼を閉じて、待つのはその先。勝った、そう思った瞬間＿＿なにかが掌に落とされる。それは、隠しておいたはずの部屋の鍵だった。
「あったぞい。嬢ちゃんのポケットに入っていたんじゃが、ほんに「おっちょこちょい」で可愛らしいのう♪」
……いつの間に。そう思いながら礼の言葉を返しておく。
「キスされると思ったかの？」
「……」
「くく、我輩もそこまで飢えておらんよ。それに、前に嬢ちゃんにはいただいたしのう♪」
頬に指をおいて、彼は楽しそうに笑う。
「ほれ、明日に備えて早くお帰り。……また、我輩しかいないときに来ておくれ」
最後、甘い言葉が私に囁かれた。
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ミー(プロフ) - マジで渉どっちかわかんなかったです笑笑 (2017年8月15日 14時) (
レス) id: 9cb245a304 (このIDを非表示/違反報告)
蒼狼(プロフ) - 作品めっちゃ面白いです！Twitterの方でフォロー（？）しました！ (2017年7月9日 19時) (レス) id: c6b79d49da (このIDを非表示/違反報告)
風夏 - 泣きました。ガチで泣きました。みかちゃん良い人すぎて凄い！これからも、面白い作品ヨロシクお願いします！ (2017年6月30日 21時) (レス) id: c04ac3408a (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - かぜかなたさん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ありません。当方、あんスタを知っている前提でお話をかいているので、分かりにくい箇所もあったかもしれません…。ぜひこれからあんスタについて詳しくなって、また読んでください(*'▽'*) (2017年3月11日 23時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
かぜかなた - あんすたあまり知らないので、初心者でもわかるような内容にしてもらいたいです。 (2017年3月3日 23時) (レス) id: 4812fd1ea7 (このIDを非表示/違反報告)
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