寵愛/1(side薫) ページ36
「ふふ〜ん、やっぱりお風呂上がりの飲み物は格別だよね〜♪」
それは、ホテルの自販機で買った飲み物を片手に、自室に戻っているときだった。俺たちの……ああ、俺たちは朔間さんと俺、晃牙くんとアドニスくんって部屋割りにしてるんだよね。まあ、そんな俺たちの部屋の前に、人影が見えた。
朔間さんかな、なんて思ったけれど、それにしては小柄。近づくにつれ、甘い花のような香りが飛んでくる。
ああ、あの子だ。
「どうしたの、ニナちゃん？」
優しく呼びかけてやると、彼女は涙目で振り返った。「薫先輩っ」それから、ぱたぱたと駆け寄ってくる。
「私の部屋の鍵知りませんか？どこかに落としちゃったみたいで」
顔を真っ青にして、彼女は縋るように言う。
「見てないなぁ。一緒に探してあげるよ」
「ありがとうございますっ」
……やっぱり、この子が悪いようには見えないんだよね。いや、別にAちゃんが悪いって言ってるわけじゃないよ？ただ、この子もAちゃんを騙すような人には見えないってこと。
朔間さんはああやって言うけど、やっぱ何かの間違いなんじゃないかな？
そう考えながら、彼女に笑顔を向けた。
「どこで無くしたか心当たりある？」
「えっと、そのっ……」
「大丈夫だから、落ち着いて。そうだ、部屋に入りなよ。話聞くから」
消えいりそうな声で頷く彼女を、扉を開けて部屋に入れる。と、背中に何かがぶつかった。
彼女がもたれかかってきたことに気づくのに、そう時間はかからなかった。甘い香りが充満して、頭がクラクラするような感覚に陥る。
「本当に、ありがとうございます……薫さんは、優しい人ですね」
そのまま、きゅっと服を握る彼女。名前を呼ばれたことが嬉しいなんて、どうかしているだろうか。その声が、感触が愛おしいだなんて、
「薫くん」
＿＿＿＿呼ばれた自分の名に、ハッと我に返った。振り返ると、微笑を浮かべて入り口で佇む朔間さんの姿。
「お取込み中、悪いんじゃけど＿＿わんこらが薫くんに確認しておきたいことがあるそうなんじゃよ。嬢ちゃんの相手は我輩が代わるから、行ってやってくれんか」
その言葉に、ああ、うん、とか曖昧な返事を返して踵を返す。今、俺は何を。
俺が横をすり抜ける瞬間、朔間さんはぼそりと呟いた。
「……気をつけろよ」
＿＿＿＿そうか、これが彼女の本性。俺たちでさえ惑わし、味方につけてしまえるような掌握術。
撤回しよう。彼女は、魔物だ。
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ミー(プロフ) - マジで渉どっちかわかんなかったです笑笑 (2017年8月15日 14時) (
レス) id: 9cb245a304 (このIDを非表示/違反報告)
蒼狼(プロフ) - 作品めっちゃ面白いです！Twitterの方でフォロー（？）しました！ (2017年7月9日 19時) (レス) id: c6b79d49da (このIDを非表示/違反報告)
風夏 - 泣きました。ガチで泣きました。みかちゃん良い人すぎて凄い！これからも、面白い作品ヨロシクお願いします！ (2017年6月30日 21時) (レス) id: c04ac3408a (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - かぜかなたさん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ありません。当方、あんスタを知っている前提でお話をかいているので、分かりにくい箇所もあったかもしれません…。ぜひこれからあんスタについて詳しくなって、また読んでください(*'▽'*) (2017年3月11日 23時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
かぜかなた - あんすたあまり知らないので、初心者でもわかるような内容にしてもらいたいです。 (2017年3月3日 23時) (レス) id: 4812fd1ea7 (このIDを非表示/違反報告)
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