レイニー・スター/3 ページ16
「ホッケー！」
ふと後ろから聞こえてきた静かな声に振り向くと、そこにいたのは氷鷹先輩だった。何故か大きな紙袋を抱えて、無表情で立っている。
がたん、とイスを揺らして、明星先輩が氷鷹先輩にかけよった。
「何その袋？美味しいもの？それとも宝石？キラキラしてる？」
「おい、触るな。……残念ながら、これは演劇部で使う衣装だ」
「あっ、そっか。それを取りに行ってたから、「先に行ってくれ」っていなくなったんだね」
遊木先輩の発言からすると、三人一緒に食堂に来ていたらしい。で、途中で氷鷹先輩が離脱していった、と。
一人で納得しながら三人の会話を眺めていたら、氷鷹先輩の瞳が再び私を見た。
「それより、さっきの発言を聞かせてもらったが。あれを心から言っているのならば、全く反省の色が見えなくて幻滅するぞ」
冷たく言い放つ氷鷹先輩の隣で、心配そうな顔をした遊木先輩が口を開こうとした。けれど、氷鷹先輩がそれを遮る。
「「謝ればいい」という問題ではないんだ。大切なのは誠意であって、口先だけの謝罪の言葉じゃない。本心からお前が謝って、もう何もしないと誓うのなら。転校生は優しいから、再び仲良くなれるはずだ」
私を諭すように、氷鷹先輩はゆっくり言葉を紡ぐ。それに続いて、今度こそ遊木先輩が言った。
「……あんずちゃんも、まだ心配してるよ。最近、元気がないんだ。Aちゃんのことで悩んでいるんだよ」
…………えっ。
あんず先輩に私のことで悩んでほしくなくって、遠ざけたのに。だからわざとひどい態度をとったのに。
……けれど、よくよく思い返してみれば。「私のことを心配しなくていい。嫌いになっていい」なんて言ったけど、それ、逆に気にしてしまうんじゃ……？
ああ、私はバカだ。もうちょっと、しっかりした作戦を考えるべきだった。
明星先輩たちに言われて、作戦の駄目なところがぼろぼろと明るみになる。この作戦を続ける意味が、見いだせない。
けれど、後にも引けない状況なのだ。
「ねえ、A。行こう、心配しなくても大丈夫だよ。ニナなら許してくれるよ」
明星先輩の言葉に、はっとする。……そうだ、今はとにかく、逃げ切らなきゃいけない。
手を差し伸べてくれる明星先輩を、睨みつける。ごめんなさい、すばるん先輩。
「私にもう関わらないでくださいっ！！」
必死にそう叫んで、私は振り向かずに食堂を出ていった。
……会議しなくちゃならない問題が、山積みだ。
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ミー(プロフ) - マジで渉どっちかわかんなかったです笑笑 (2017年8月15日 14時) (
レス) id: 9cb245a304 (このIDを非表示/違反報告)
蒼狼(プロフ) - 作品めっちゃ面白いです！Twitterの方でフォロー（？）しました！ (2017年7月9日 19時) (レス) id: c6b79d49da (このIDを非表示/違反報告)
風夏 - 泣きました。ガチで泣きました。みかちゃん良い人すぎて凄い！これからも、面白い作品ヨロシクお願いします！ (2017年6月30日 21時) (レス) id: c04ac3408a (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - かぜかなたさん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ありません。当方、あんスタを知っている前提でお話をかいているので、分かりにくい箇所もあったかもしれません…。ぜひこれからあんスタについて詳しくなって、また読んでください(*'▽'*) (2017年3月11日 23時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
かぜかなた - あんすたあまり知らないので、初心者でもわかるような内容にしてもらいたいです。 (2017年3月3日 23時) (レス) id: 4812fd1ea7 (このIDを非表示/違反報告)
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