４ 不安分子 ページ5
俺とエリ、そして雄久の三人は、毛利元就の統治する
「今回は三人で行くんだね」
「ああ、相手は毛利だ。警戒しておくだけ損はない」
本当は後藤にも協力させるつもりだったが、奴は毛利と聞いて興味を無くした様だ。
基本、秀満には城にいてもらいたい。
実力も申し分なく、信頼できる部下といえばあいつしかいない。
そんなわけで、雄久を連れてきたというわけだ。
話を聞いて震えるエリに、雄久が声をかける。
「エリさん。なにかあったら、僕がまもります」
「あ、ありがと…子供に守られる私って…」
「可哀想に、エリが傷ついてしまった」
「そんな！？ 一体誰がエリさんを！」
お前だお前。
「…ねえ、雄久君。なんでそんなに私の事気にしてくれるの？」
立ち直ったエリが、雄久に聞いた。
確かに、雄久は前からエリの事をやたらと気にする。
同じ境遇、という意識がまだあるのだろうか。
「エリさん、最近様子が変だったから…」
「「あぁー」」
納得する俺とエリ。
確かに、ここ最近のエリの様子はおかしかった。
最近は調子が戻ってきたと思っていたのだが、言われた途端思い出したようにエリがしどろもどろになってしまった。
そんなエリの様子を見て、雄久は俺をじっと睨みつける。
なんなんだお前ら。
「…やっぱり、エリさんは僕がまもります。常真さまから」
「あ、そ、そう？ 大丈夫だよ？」
「いや！ 常真さまがいるときにいつもおかしな感じになる！ まちがいない！」
「バレてる…！」
雄久が露骨に俺からエリを遠ざけ始めた。
何故か俺のせいみたいになってるが、何もしていないぞ。
…多分。
「かくなるうえは僕がこうやって常真さまを抑えつけます！」
雄久が俺の背中にしがみ付いて俺を抑えようとする。
…体格がまるで違うので、ただ俺が雄久をおぶっているだけの状態だが。
「…おい。お前を連れてきたのが戦力を増やす為って事、忘れたのか」
「う。…なら、エリさんに抑えててもらえば」
「へ？」
雄久が自分の位置とエリの位置を入れ替えた。
つまり、俺がエリをおぶっている状態になる。
「いや、そうはならないだろ」
「あっ」
なんだこの状況。
「うひゃあぁぁ…」
背中からエリの悲鳴が聞こえてきた。
「ああ、エリさん！ 今下ろします！」
頭から煙を出し始めたエリを見て、雄久が急いで下ろさせる。
というか、本当に俺が原因なのか。
この面子、人選選びを間違えたのか。
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作者名：神有月 | 作者ホームページ：http://Kamiari-Tuki
作成日時：2018年4月14日 15時
