Sho.S* COLD EMPEROR -The World of Ice- (ページ18)

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黒い世界に色がつく日。ページ18

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きっと、私から。

彼に、別れを告げることなんて、

そんな身の程を知らないような真似は出来ないから。

彼に捨てられるまで、

全てを捨てて、彼の″奥さん″を一緒に裏切る、

酷い女に変わろうと、そう決めた。

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私の立場は陰。

この先ずっと、彼に愛されることもない。

ただの、オモチャ。

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そう思ったら、

なぜか、耐えていけるような気がして、

真夜中に起こされるコールだって、

喜ぶ気持ちをきちんと抑えられるような気さえした。

*

オフィスの給湯室で、

コーヒーを入れていたら、

同期の女の子たちが2、3人集まってきて、

きゃっきゃと、声を上げた。

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◇「大野さん、戻って来たらしいよ！」

●「嘘！3年ぶりくらい？わぁ、彼女できたのかなぁ、」

◆「えー？いるって噂あったじゃん、向こうに行く前から、」

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3人で話していた彼女たちが、

不意に私の方を振り返って、

にこにこ、笑う。

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◆「よかったね、A！大野さん帰ってきてるって、」

「・・・うん、」

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そっか、戻ってきたんだ。

大野さん、は。

私が新人だった頃からずっと、ずっと面倒を見てきてくれた先輩で。

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3年ほど前に、

香港にある支社に異動になって。

日本には定期的に戻ってきてたみたいだけど、

噂だけで、本人に会うことは、なかった。

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あぁ、楽しくなりそうだな、って。

ちょっと・・・ちょっとだけ。

憂鬱だった世界に、

色がついた気がした。