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「…ん」
目が覚めると、隣にAの姿はなかった。
飛び起きて部屋を見渡すがやはり姿はなく、眼鏡をかけて時計を見ると既に２時間が経っていた。
「……ハァッ!?」
一気に覚醒した脳で状況を整理するが、頭が回らない。
バクバクと鳴る心臓を押さえつけながらベッドを飛び降りると水音が聞こえて、慌ててバスルームへと向かった。
「A、起こしてくださいと言ったじゃないですか」
ノックをしてから扉越しに声をかけるが返事はなくシャワーの音だけが響く。
開けますよ、と一言断ってからドアノブを回すと鍵はかかっておらず簡単に開いた。
「……まめねこ」
そこに彼女の姿はなく、まめねこがシャワーで遊んでいるだけだった。
「…どこへ行ったんですか」
呆然と立ち尽くしながら呟くと遊び飽きたのか足元をするりとびしょ濡れのまめねこがすり抜けていく。
そのままふらふらと玄関を覗けば彼女の靴は無く、1人で出ていったのだと察してしまう。
「は、ははは……」
乾いた笑いが漏れ出て膝から崩れ落ちる。
どうして、何も言わずに行ってしまった。
分からない、何がいけなかったのか。
思い返してもわからないままで、ただひたすらに絶望感と虚無感に襲われていた。
それからしばらく放心状態で玄関の床に座っていたが、一度海岸沿いに探してみようと思い立ち上がる。
部屋へと入った時、ふとテーブルの上に置かれた紙が目に入った。
【レオスさん】と書かれたそれに恐る恐る手を伸ばし、震える手で二つ折りにされていた紙を開く。
【レオスさん、ごめんなさい。
レオスさん、すきです。
また、あいたい】
「っ……あぁ」
お世辞にも上手だとは言えない、子供が書くような文字を見た瞬間に視界が滲んでいく。
私もです、私だってあなたが好きです。
手紙を握りしめたまま、崩れ落ちそうになる体をなんとか支えて深呼吸をするとまめねこが机に登ってきていた。
「…一丁前に慰めてくれるんですか」
指先で頭を撫でてやるとまめねこはこちらを見た後、乳白色の玉を差し出してきた。
直感的にAが話していた秘薬だと理解して、あまり深く考えないまま受け取ったそれを口に放り込み悲しみと一緒に飲み込んだ。
また会いたいと書いてくれた彼女の願いを叶えなければ。
何年でも待ちましょう。何十年だろうとも、何百年だろうとも。
もう一度会えたその時は、正直に伝えよう。
アナタを愛していると。
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豆腐の凉宮 - 泣けるううううう所長ゆるさんんん (6月11日 23時) (
レス) @page50 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 匿。さん» コメント、嬉しいお言葉ありがとうございます🙇✨!!次作も楽しんでいただけるよう頑張ります💪 (2022年6月4日 15時) (レス) id: 0a5bfdbc79 (このIDを非表示/違反報告)
匿。(プロフ) - 完結おめでとうございます！話の内容はもちろん、文章の書き方や描写の表現がとても素敵で大好きです！話の最後の方は思わず目が潤んでしまいました､､､。次作も楽しみにしています✨ (2022年6月3日 23時) (レス) @page50 id: 8c41784542 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - ソラさん» ありがとうございます✨ゆっくり更新ですがこれからもよろしくお願いします! (2022年3月23日 12時) (レス) id: 0a5bfdbc79 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 文体が大好きです！これからも応援してます𖤐´- (2022年3月22日 22時) (レス) @page18 id: 1472b690a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユナ | 作成日時：2022年3月11日 9時
