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*Aside*
レオスさんが眠りにつくのを確認して、撫でていた頭からそろりと手を離す。
すると彼は小さく声を漏らしたが、すぐに規則正しい呼吸音が聞こえてきた。
「……レオスさんは本当に優しいですね」
起こさないよう小さな声で呟く。
彼と共に過ごせた時間はとても楽しく、幸せだった。
あんな目にあってまでまだレオスさんと一緒に居たいと願ってしまうのはおかしいのだろうか。
彼の手に自分の手を重ねると、じんわりとした体温を感じられて、涙が出そうになる。
「……ごめんなさい、もう少しだけ一緒に居させてくださいね」
小さく呟いてレオスさんの胸元に顔を埋めると、我慢していた涙がこぼれて彼のシャツに滲んでいった。
(早く、行かないと)
ゆっくりとベッドサイドから立ち上がり、後ろ髪を引かれる気持ちで用意を進める。
電話の横にあったメモ帳をテーブルに置き、まだ書き慣れない字で気持ちを紙に残していく。
レオスさんは私に沢山のものを与えてくれた。
本当ならこのまま海まで一緒に行って笑顔で別れるべきなのだろう。
でも、それだと受け取ってもらえない。この秘薬を。
ポケットから真珠に似た玉を取り出し紙の上にのせる。
一生で一度しか作れないのだから、添い遂げる人が見つかるまでは大切にしなさいと幼い頃から強く言われ続けてきた。
昔聞いた秘薬の作り方は、添い遂げる気持ちを強く持って
手を合わせ祈る事。
先程バスタブで挑戦してみたら思いの外簡単に出来てしまって拍子抜けしたが、同じようにもう一度祈っても二個目は作れなかった。
私の人生で特別な人はレオスさんだけがいい、故郷に帰って番が一生出来なくなっても後悔はない。
『まめねこちゃん、これは食べちゃダメだよ?レオスさんに渡してね。あと……独りは寂しいから、レオスさんがもし悲しそうだったら一緒にいてあげて』
机によじ登ってきたまめねこちゃんにそうお願いをして小さな頭を撫でた。
『ふぅ……。よし、行こう』
覚悟を決めて玄関に向かう。
『レオスさん、…さようなら』
静かに扉を開けると潮風が吹き抜けて、髪が舞い上がる。
もうすぐ夜が明けるのであろう、空は白みはじめていて、太陽が昇ろうとしているのが見えた。
『……っ』
早足で道路を歩いていると堪えていた涙が溢れて頬を流れる。
これでいいんだ、これが一番良い選択なんだと自分に言い聞かせても、心が軋んで涙が止まらなかった。
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豆腐の凉宮 - 泣けるううううう所長ゆるさんんん (6月11日 23時) (
レス) @page50 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 匿。さん» コメント、嬉しいお言葉ありがとうございます🙇✨!!次作も楽しんでいただけるよう頑張ります💪 (2022年6月4日 15時) (レス) id: 0a5bfdbc79 (このIDを非表示/違反報告)
匿。(プロフ) - 完結おめでとうございます！話の内容はもちろん、文章の書き方や描写の表現がとても素敵で大好きです！話の最後の方は思わず目が潤んでしまいました､､､。次作も楽しみにしています✨ (2022年6月3日 23時) (レス) @page50 id: 8c41784542 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - ソラさん» ありがとうございます✨ゆっくり更新ですがこれからもよろしくお願いします! (2022年3月23日 12時) (レス) id: 0a5bfdbc79 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 文体が大好きです！これからも応援してます𖤐´- (2022年3月22日 22時) (レス) @page18 id: 1472b690a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユナ | 作成日時：2022年3月11日 9時
