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『明日、でしたよね?次の研究所に行くの……。私、手紙を─「A」』
真っ直ぐに彼女を見つめて名前を呼ぶと、何かを感じ取ったのか不安そうな瞳が揺らぐ。
『い、いやです……レオスさん…言わないで……』
「A……」
懇願するように彼女は目を伏せた。
その頬に触れると、指に雫が落ちる。
きっと彼女は、私が何を伝えに来たのか分かってしまったのだろう。
そしてその先に続くであろう地獄を想像してしまった。
『っ、うぅ……』
俯いたまま嗚咽を漏らす彼女の頭を撫でながら、心の中で覚悟を決めた。
助けないでくれと言われていたが、私は存外我が儘なのだ。
彼女が嫌がっても、私は絶対にここからAを連れ出す。この手を離してやるものか。
「大丈夫ですよ、A。もう貴方を独りにはしません」
彼女に小声でそう伝えると涙で濡れた瞳が大きく見開かれる。
驚きと困惑の色に染まる瞳に微笑むとモニターのスピーカーからガチャガチャと機械音が鳴った。
「………ぁー、あー…レオス君、聞こえてる?」
『！』
Aの肩が小さく跳ねる。
先程の会話も拾われていたかと思案して平然を装った。
「えぇ、聞こえていますが」
「聞こえていますが、じゃぁないよ。もう1時間もたってるんだけど。ずっと見てる僕の身にもなってくれる??早くして」
「……分かりました」
じゃあ見るな、と言いたい気持ちを押さえて彼女に向き直す。
「…A、もう察しはついていると思いますが、次の研究所へ行く話しは無くなりました」
『……はい』
「よかったよねぇ、僕は研究が出来るし、Aちゃんは大好きなレオス君とず〜っと一緒だよ?死ぬまでね」
相変わらず腹立たしい声に思わず舌打ちが出そうになるが堪えて言葉を続ける。
なぜこうも彼女を苦しめる言葉を吐くのだろうか。
「A、」
「あ〜もう要件は終わったんだからレオス君は持ち場に戻って。ほらほら早く」
「…はい」
『……』
これ以上の長居は出来なそうだ。
席を立つと後ろで椅子を引く音が聞こえたので振り返ると、立ち上がった彼女が私を見て泣きそうな顔をしていた。
「……また、来ますので」
『…はい』
ぎこちなく笑うAを背に部屋を出た。
思い立ったが吉日。今日の夜、Aをここから連れ出す、そう決めて自分の仕事へと戻ったのだった。
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豆腐の凉宮 - 泣けるううううう所長ゆるさんんん (6月11日 23時) (
レス) @page50 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 匿。さん» コメント、嬉しいお言葉ありがとうございます🙇✨!!次作も楽しんでいただけるよう頑張ります💪 (2022年6月4日 15時) (レス) id: 0a5bfdbc79 (このIDを非表示/違反報告)
匿。(プロフ) - 完結おめでとうございます！話の内容はもちろん、文章の書き方や描写の表現がとても素敵で大好きです！話の最後の方は思わず目が潤んでしまいました､､､。次作も楽しみにしています✨ (2022年6月3日 23時) (レス) @page50 id: 8c41784542 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - ソラさん» ありがとうございます✨ゆっくり更新ですがこれからもよろしくお願いします! (2022年3月23日 12時) (レス) id: 0a5bfdbc79 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 文体が大好きです！これからも応援してます𖤐´- (2022年3月22日 22時) (レス) @page18 id: 1472b690a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユナ | 作成日時：2022年3月11日 9時
