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いつものように問診を終えると、Aが『そういえば』と口を開いた。
『最近足音を聞き分けられるようになったんですよ!』
「...本当ですか?」
『失礼な〜!本当ですよ!』
得意気に話すAだったが、元々薬品保管室だったこの部屋の壁はかなり厚く作られていて足音のような小さい音を聞き分けられるとは考えにくい。
『レオスさんは、こう…スッスッって感じで…もう一人の人はちょっと靴を擦って歩いて来てます。あと、時々来るのが…』
「いやいや、ちょっと待ってください?そんなに沢山の人間が出入りしてるんですか??」
『え?はい』
Aはきょとんとした顔でこちらを見ている。
彼女にとっては当たり前の事のようだが、こちらからすれば初耳だ。
「具体的に何をしに来ているんですか?嫌なことされていませんか?」
そう食いぎみに話せばふふっと笑われた。
『大丈夫ですよぉ。水槽のお水を変えてくれる人と、新しい洋服を持ってきてくれる人だけなので。あ、勿論話したりしてませんよ!』
(あぁ、そういう事か…)
ふぅ、と安堵の息を吐く。
てっきりAに惚れでもした研究員がせこせこと足を運んでいるのかと思ってしまった。
「それなら良いですけれど…。くれぐれも気をつけて下さいね。
しかし聞き分けられているとなると"耳がいい"レベルの話では無いですねぇ。根本的に人間よりも感覚が鋭いのか…」
『あんまり気にしたこと無かったんですけど…、そうなんですかね?』
「他に見え方や味、匂いなどはどうですか?」
『うぅ〜ん…。味とかはどうなのか分からないですけど、目は海の中でもよく見えますよ!』
また得意気に話すAにふむ、と頷く。
確かに人間のように水の中でボヤけて見えるようでは生活はままならないだろう。
見た目には人間と変わらないようだが、中の構造が違っているのか…
「A、少し失礼しますよ」
『えっ?』
Aの頬を両手で包み、目が良く見えるように顔を少し上げ自分の顔を近づけた。
綺麗なグレーの瞳と至近距離で視線が絡む。
Aが驚いた声をあげていたが、研究心に火のついた私の耳には届かなかった。
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豆腐の凉宮 - 泣けるううううう所長ゆるさんんん (6月11日 23時) (
レス) @page50 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 匿。さん» コメント、嬉しいお言葉ありがとうございます🙇✨!!次作も楽しんでいただけるよう頑張ります💪 (2022年6月4日 15時) (レス) id: 0a5bfdbc79 (このIDを非表示/違反報告)
匿。(プロフ) - 完結おめでとうございます！話の内容はもちろん、文章の書き方や描写の表現がとても素敵で大好きです！話の最後の方は思わず目が潤んでしまいました､､､。次作も楽しみにしています✨ (2022年6月3日 23時) (レス) @page50 id: 8c41784542 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - ソラさん» ありがとうございます✨ゆっくり更新ですがこれからもよろしくお願いします! (2022年3月23日 12時) (レス) id: 0a5bfdbc79 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 文体が大好きです！これからも応援してます𖤐´- (2022年3月22日 22時) (レス) @page18 id: 1472b690a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユナ | 作成日時：2022年3月11日 9時
