そばにいて skt ページ22
一人暮らしの私の部屋にインターホンの音が鳴り響く。
私は重い瞼をこじ開け、ぼやけた視界で玄関の方を見る。
玄関ってこんなに遠かったっけ
今にでも前に倒れてしまいそうな体を無理やり動かし
玄関まで歩く。
ドアノブに手をかけ押すのと同時に私も前に倒れた。
「あぶな！！」
私を抱きとめてくれたのは彼氏。
「こんなにボロボロなんやったら言ってくれたら良かったのに！！」
彼は私のおでこにそっと手を当てる
「めっちゃ熱あるなぁ
色々買ってきたからとりあえずベッドまで行こ
お粥作るわ」
私の手を自分の首元にまわし、よいしょと私を持ち上げる
お姫様だっこ。
もう少し意識がはっきりした時にしてほしかったと心の中で嘆く。
・・・っていうかこの人料理できたっけ？
まぁ何も食べないよりはマシか
私をそっとベッドに寝かすとキッチンに行ってしまった。
そこから意識はない。きっと眠ってしまったのだろう。
「・・・きて、起きて！」
目を覚ますと笑顔の彼。
起きれる？と言って私の背中に手を当て起き上がる手伝いをしてくれる。
「お粥できたけど1人で食べれ・・・なさそうやな」
そう言ってスプーンでお粥をすくいフーフーと冷ましてくれる
看病といえばみたいなシチュエーション
よくドラマや漫画で見る
私は口に運んでくれたがちょっとまだ熱い。
「・・・美味しい」
「ホンマに！？よかったー！」
笑顔の彼を見るのが好きだ
「もっとちょうだい」
私は口を開けて待つ
「今日は甘えたやなぁー」
そう言って最後の一口まで食べさせてくれた。
「よく食べれました
俺片付けてくるからゆっくり寝て早く治しやー」
そう言って頭をぽんと叩くと立ち上がり食器を洗いに行く。
どこにも行かないとわかってるのに
遠くに行っちゃう気がする
そんなの嫌
もっと
「そばにいて」
私はいつの間にか手を伸ばし普段絶対言わないことを言った。
「ええよ。寝るまでいるから」
そう言って私の手を布団の中にしまい、ポンポンと一定のリズムを刻み始めた。
それが心地よくて私はぐっすり眠ることができた。
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だいぶ楽になり、目を覚ますと彼は横で寝ていた。
「A、これからもずっと一緒におるから
早く風邪治してデートしよ」
そんな寝言を言っていたのを本人が知るのはまだ少し先の話。
本音とおまじない mfmf→←antique doll mfmf
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作者名：朔間.寝野.結衣 x他2人 | 作成日時：2022年3月1日 18時
