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57/忠言を、 ページ7

◆◇◆

 城の裏門が見えてきたとき、門の外側に二人分の人影があるのが分かった。
それが誰なのか理解し、思わず足を止めてしまう。
しかし躊躇したのは一瞬で、私はのんびり行くでも急ぐでもなく歩を進めた。

 初めに気付いたのは、そのうちの一人であるユリアだった。
やはりバレてしまっていたか、と苦笑は禁じ得ない。

 忠言も甘んじて受けようと、こちらに走り寄る彼女と目を合わせる。

 ……と。

「お嬢様!!」

『……っ』

 第一声があまりにも鋭くて、身体が硬直する。
ごめんなさい、という言葉は喉の奥につっかかって出なかった。

「何故お一人で外になど出たのですか!!」

『ユ、リア……』

 彼女はいつも私に様々な注意を零すけれど、こんな剣幕の彼女は見たことがなかった。
驚きと困惑と、少しの恐怖で、彼女の名前を呟くのが精一杯で。

「貴女はご自分の立場がお分かりですか!? 何のために私がいるとお思いなのですか!!」

『ユリア、あの、私――』

「ユリアさん、今日は私が彼女に使いを頼んだんですよ。彼女はそれに従っただけだ」

「エーミール様は黙っていてください。了承したのはお嬢様です」

「ですが――」

『……エーミール様、ユリアの言う通りです』

 嗜めようとしたエーミール様を遮ったのは、他でもない私だった。

「A……」

「お嬢様、私の言っている意味、理解していただけますね」

『……えぇ』

「街に下りること自体は咎めません。しかし、私の(あずか)り知らぬところで単独で動かれるなど言語道断でございます。貴方の身に何かあってからでは遅いのですよ」

『えぇ、分かってるわ……ごめんなさい』

「謝罪は要りません。今後はご自身の立場を省みて、行動なさってください」

『……はい』

 ……何を思い上がっていたのだろう。
何を勘違いしていたのだろう。何を舞い上がっていたのだろう。

 一人で出歩く機会を貰えたって、街の人たちと同じ道を歩けたって。
私は所詮、生まれてからずっと"普通"ではないのに。

 ――これから先、死ぬまでずっと、"普通"にはなれないのに。

*

58/重く色褪せ、→←56/帰り道にて。



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江之子(えのこ)(プロフ) - ささん» 初めまして、コメントありがとうございます。最新話のみならず読み返しまでしていただけるとは…。どうぞ、これからも長々とこの作品をご愛顧してもらえたらと思います!応援感謝です。 (2017年6月6日 16時) (レス) id: d4b2bfad59 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 初めまして。えのこ様のお話が大好きです。最新話を追いつつ初めから読み直しては楽しませてもらっています。これからも応援しております! (2017年6月6日 15時) (レス) id: 91a8ff52f5 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(えのこ)(プロフ) - ahirudokuro112さん» コメントありがとうございます。毎日気にかけてくださるほど印象を残せたこと、一書き手としては嬉しいばかりです。それをこうして文字にして伝えてくださったことをとてもありがたく思います!今度とも、どうぞよろしくお願いします。 (2017年6月4日 0時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
ahirudokuro112(プロフ) - 初めてコメントさせてもらいます。いつもとても楽しく読ませて貰ってます。気づけば毎日朝と夜に更新されてないかチェックするのが日課になってます笑。ぜひこの気持ちをお伝えできたらとコメントさせていただきました。 (2017年6月3日 23時) (レス) id: f8fb3df520 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(えのこ)(プロフ) - 井戸らさん» コメントありがとうございます。私の場合、気が付いたらこんな文体になってまして、くどいかな…とドキドキしながら書いてる面があるのですが…。それを褒めていただけるのは何より嬉しいです。今後もお楽しみに! (2017年5月27日 23時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:江之子(えのこ) | 作成日時:2017年5月22日 1時

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