17#太陽のような ページ50
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「じゃあ、今日は一人で出掛けてたん?」
『そうなんです。あまり遊ぶ時間がなく、どこにどんなお店があるのかも詳しくなくて……恥ずかしながら、地図を持参で』
「そっかー! じゃあじゃあ、俺が案内したる!」
『ふふ、ありがとうございます、シャオロン様』
太陽のように明るく笑うシャオロン様は、私の横を歩きながら流れるように話題を投げかけてくれる。
それに一つ一つ答えていた途中、シャオロン様はふっと口を閉ざし、何事かと見上げた私に、意を決したように言った。
「そのさ、様っていうの、やめへん?」
『え?』
「俺なんか大したことない奴やで。シャオロン様、なんて呼ばれるとくすぐったいねん」
『それは……失礼しました』
――はて。
といっても街では幹部のことを様づけで呼ぶ人間の方が大半だし、かくいう私も、城内ではシャオロン様とお呼びしている訳だが。
謝罪する私に、彼は期待を込めた目を向ける。
それを彼なりのアプローチなのだと理解した私は、こくりと一つ小さく頷いて。
『では……シャオロンさん』
「……ん、まぁ今日のところはそれでもえっか!」
お互いに妥協し合った着地点。
どこか物足りない顔をしているのには気付いたけれども、私は何も言わなかった。
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夜風−yorukaze−(プロフ) - とても面白くて、サクサク読めます!これからも頑張ってください! (2020年4月26日 17時) (レス) id: 58cfefca5b (このIDを非表示/違反報告)
江之子(えのこ)(プロフ) - wlthzさん» コメント、ご意見ありがとうございます。一言についてですが、このスタンスをとれるのも紙媒体の小説にはないサイトの魅力だと考えていますし、これを気に入ってくださる方も居るので、今後は思いついたときに挿入するスタイルに変更しようと思います。 (2017年7月24日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
wlthz(プロフ) - コメント失礼します。1話終わるごとに挿入される一言で興が削がれます。物語自体は面白く読ませて頂いているので、そこだけが少し不満です。 (2017年7月24日 19時) (レス) id: 45eb196b6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:江之子 | 作成日時:2017年5月9日 0時