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――ガシャァァン……！
「……っ！？」
「どうした！？」
「な、何事ですかな？」
『申し訳ございません！ 手元が狂ってしまい――』
慌てて頭を下げた私のすぐ側の床に、無残にも割れてしまったティーカップ。
『すぐに片付けます。大変な粗相、申し訳ありません』
「……いや、私は平気ですよ。お嬢さんに怪我はなかったかな」
『お気遣いありがとうございます』
呆気にとられたのはむしろオスマン様とトントン様の方で、クリスフォード外交官は笑って許し、スーツの男も相変わらずの態度だった。
そこで我に返ったらしいオスマン様。速やかに状況を把握し、焼き菓子を皿に戻した。
「使用人の粗相、私からも謝罪申し上げます。……破片はすぐに片付けさせますので、部屋を移させてもらっても宜しいですか？」
「……まぁ、致し方ありませんな。仰るようにしましょう」
「お手数をおかけします」
こちらの粗相によって、些か態度がでかくなったか。
些細な問題でも、揚げ足を取るかのように弱味を握ることは、外交において十分な武器となり得るのだろう。
「お二人から直接これの感想を聞きたかったのですがな……良ければ、後で皆さんでお召し上がりください」
「……えぇ、ありがたく」
深く礼をしたままの私を残して、彼らは部屋を出ていった。
おそらく、ここから今日の外交の本題に入るのだろうと思われる。
『……』
"悪い予感"は無事去った。
私は、"わざと"手を滑らせたカップの残骸を片付けた後、彼らの持参した焼き菓子を包み直して部屋を出た。
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夜風−yorukaze−(プロフ) - とても面白くて、サクサク読めます！これからも頑張ってください！ (2020年4月26日 17時) (
レス) id: 58cfefca5b (このIDを非表示/違反報告)
江之子(えのこ)(プロフ) - wlthzさん» コメント、ご意見ありがとうございます。一言についてですが、このスタンスをとれるのも紙媒体の小説にはないサイトの魅力だと考えていますし、これを気に入ってくださる方も居るので、今後は思いついたときに挿入するスタイルに変更しようと思います。 (2017年7月24日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
wlthz(プロフ) - コメント失礼します。１話終わるごとに挿入される一言で興が削がれます。物語自体は面白く読ませて頂いているので、そこだけが少し不満です。 (2017年7月24日 19時) (レス) id: 45eb196b6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2017年5月9日 0時
