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#下向いて何を見てるの? ページ4

*

ab

真夏の日差しが窓から入り込む時間帯。

分厚い数学の教科書。

暗号のように見える数式。

教授が吐き出す難しい単語。

ページをめくるときの紙の音。

シャーペンが字を作り出す響き。

どれも俺の好きなものだ。

「はい、今日の講義はここまで。ファイルリストに今週の課題を掲載したので、来週のこの時間までに提出するように。」

教授が講義室から出ていって、

俺も荷物をまとめてそそくさと講義室を出る。

そのまま学食でいつも通りコーヒーを買って、

誰もいない場所でパソコンを開いて課題のデータを開く。

提出用のノートに解法を書いていって、、、

でも突然書く手が止まってしまった。

別に解き方が分からないわけじゃない。

なんか胸が苦しいような感じがした。

胸に手を当てて落ち着かせようと試みる。

「これ、良かったら食べて!」

そんな時に突然話しかけられた、

顔も名前も知らないような赤の他人に。

俺の目の前に置かれたのはプリン。

顔を上げるとプリンみたいな髪の毛をしてる、、、

ab「あ、、、えっと、、」

sk「あ、自己紹介してなかったね!教育学部2年の佐久間大介っていいます!」

よろしくね!と嘘ひとつない笑顔を見せる彼。

久しぶり、というか初めて出会った気がする、

こんな人間らしさのない俺に笑顔を向けてくれる人を。

sk「それより何か辛いことでもあったの?暗い顔して下向いてるから、、、」

今日会ったばかりの俺をここまで心配してくれる。

そのことがやけに嬉しく感じて、、

sk「あわわ!ごめん、嫌なこと思い出させちゃった?」

落ちてしまいそうなくらいに眉尻を下げて、

俺の顔を覗き込んでくるから咄嗟に机に伏せた。

止めようと頑張っても、涙は止まってくれなくて。

sk「我慢しないで大丈夫だよ、たくさん泣いていいんだよ。」

久しぶりに泣いた、我慢の糸が切れた気がした。

佐久間くんが俺の背中を優しく撫でてくれてた、

その手はあたたかくて大きくて優しかった。

ab「ごめんなさい、佐久間くん、、」

ab「佐久間くんなんて堅苦しい!佐久間でいいよ、それに敬語もなし!君のお名前は?」

ab「理工学部2年の阿部亮平です、」

sk「じゃあ、阿部ちゃんだ!よろしくね、阿部ちゃん!」

嘘ひとつないような笑顔を俺に向けて、

大きな手を差し出してくれた。

その手に俺の手を重ね合わせると、

佐久間の手の温もりが俺の手を温めてくれて。

冷えきった心の奥底深くに小さな温もりが生まれた。

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淘蒼toa(プロフ) - 不器用ながらも翔太くんなりの愛で溢れている渡辺翔太、、、たまらん。笑 お忙しいとは思いますが、投稿頑張ってください、応援してます! (7月3日 21時) (レス) @page9 id: 1316baeae3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えのきたけ | 作成日時:2022年6月26日 19時

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