翠の灯火 (ページ13) - 小説/夢小説

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:14,454 hit

第11話　賢者の石ｰ11 ページ13

組分けも終わり、新入生はそれぞれの寮のテーブルについた。

　ハリーは夕食を食べ終わると、体が温もり、眠くなってきた。来賓席を見上げると、先日出会ったクィレル先生は蝙蝠のような先生と話していた。ねっとりとした黒髪、鉤鼻、土気色の顔をしたその人と不意に目が合った。途端に、ハリーは痛みを感じて額の傷をおおった。
　痛みは一瞬で消えたが、ハリーが大嫌いだと訴えかけるあの目の感触はなかなか消えてくれなかった。痛みが消えた後で、ハリーは自分に向けられた刺すような視線に気がついた。
「あそこでクィレル先生と話しているのはどなたですか？」
　ハリーが尋ねると、パーシーがスネイプ先生という名前を教えてくれた。ハリーが感じた視線は、スネイプの隣に座る銀髪の先生からだった。
「じゃあ、スネイプ先生の隣の銀髪の先生は？」
「あれはエバンズ先生だ。マグル学を教えているよ。目つきは悪いけど、見た目ほど怖い先生じゃない。でもなんだか様子が変だな。具合が悪いんだろうか」
　艶やかな銀髪は広間の光を浴びて輝いている。しかし、顔は青白く、目の下にはどす黒く深い隈が刻まれている。ハリーと同じグリーンの瞳が、じっとハリーを見つめていた。怒りや憎悪、嫌悪感、悲しみなどさまざまな感情がない交ぜになったそれに、ハリーは視線の中身には気づかなかったが、なんとなく居心地が悪くすぐに目をそらしてしまった。
　ダンブルドアの話を聞いて、監督生に案内されて寮に向かう頃には、ハリーは視線のことは忘れていた。

　ハリーを見た日から、毎晩同じ夢を見る。ほとんど眠れずにいるため、私はひどい顔をしているのだろう。鏡は見ていないけど、きっと顔色は悪いだろう。
　マクゴナガル先生に案内されて、新入生たちが大広間に入ってくる。その中にはもちろん、あのハリーもいる。なぜあの子は父親に似たのだろうか。ハリー本人にはどうしようもないことだ。それでも、あの男に重ねてしまう。きっとセブルスもそうなんだろう。私はあの子の伯父なのに、なんと大人げないことか。あの妹が選んだ男との子だ。今更私が恨み言を言うものではない。しかし、嫌いな男の面影は死してなお私を揺さぶる。
　不意にハリーと目が合った。私と、妹と同じ色の瞳はすぐにそらされた。やはりあの子はリリーの子だ。
　寝不足で纏まらない頭で漠然と考える。私はいつまでハリーに妹夫婦を重ねるのだろうか。いつになったら、あの子自身を見られるのだろうか。