【花より男子】花沢類の幼馴染 10(男主) (ページ9)

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総「とにかく昔の話して。
思い出すきっかけにすりゃいいんだよ」

美「あとは何らかのショックを与えるとかもいいよな」

司「記憶失う直前と同じことするといいってゆーけど、ナイフで刺すわけにゃいけねーし」

総「A。とにかくめげずに毎日行けよ。
したらそのうち思い出すだろうよ」

「……ああ」

美「俺たちも見舞い行くからさ」

あんなにあんなに大事な時間を、忘れさせてたまるもんか。

と、意気込んだのは昨日の夜のこと。

総「類。どうだよ調子」

類「ふつうに歩けないし。
もう眠くないし。ご飯も美味しくないし。退院したら美味しいもの食べたい」

美「おー、行こうぜ」

司「おい。A入ってこいよ」

口から心臓が出そうなぐらい緊張して、扉の前でうろうろする俺。とうとう司に呼ばれた。

い、行くぞ…！

「う、…よっ！」

手を挙げる。類は俺にちらっと視線を向けたがすぐそらされてしまった。

……普通に落ち込む。

「昨日ぶり。俺の名前わかる？」

類「…だから知らないって」

「あー、言ってなかったっけ？ごめんごめん。
AAって言うんだ。
Aって呼んでよ」

類「ふーん」

そんな興味なさそうな顔しなくても…。
俺の知ってる類より何倍も冷たくて傷つくなあ。
鼻がツーンとして、「あ、やばい」と思った。

「ちょっと俺、散歩して来るわ」

司「おい！」

俺は逃げ出すように病室からでた。
類が思い出してくれるように頑張ろうと、決めたのに。

「はぁ、頑張んないとダメなのに…うまくいかないなー」

俺、こんなに弱かったのか…。
類のことになるとてんでダメだな、俺。

廊下を歩いているとおじいさんと女の子がいた。それは別に珍しい光景じゃなかったけど。

「小林のおじーちゃんっ。だめじゃーん！こんなとこまで来ちゃってー」

昨日の子だ。

「送ってくから、あたしにつかまってね」

つかまってって、松葉杖…。
はぁ…、とため息をつく。
面倒だったが、見て見ぬ振りするわけにもいかないよな。