何も ページ25
帰って、夏休みの間何もなかった。
マネージャーが帰ってきたバレー部とももう関係ないし、まず携帯の番号をしらない縁下くんとも勿論何もない(ちなみに私の連絡先は父と母と従兄弟のみである)。
遊びに行く相手もいないから意味もなく学校にいってみたりして、ガラケーを開いて宛先もわからないのに縁下くん宛のメールを作成してみたり。
後二日で夏休みがあけるという頃、学校に行く。意味はないけど、勉強でもしようかと思って。
…体育館。
ふと通りかかって中を見ると、やはりやっている。バレー部。女子のようだが、こちらも頑張っている。物凄く綺麗だ。
バレーって綺麗。
そう思いつつ、立ち去ろうとしたときにうしろから話しかけられる。私に話しかけてくるのは大抵バレー部。しかし女性の声。
「もしかして、和澄さん?」
振り返ると、眼鏡で、口元にほくろがある大層綺麗な女の人。ジャージを着ている、ということは男子バレー部のマネージャーだろう。きっと年上だから、三年生の清水潔子さんだ。
「あ、えっと、はい…」
困りながら頷くと、微笑みを浮かべる。こういうのを完璧、とか端麗、とかそう言う言葉で表すんだろう。見惚れると同時に縁下くんはこんな綺麗な人の傍で練習してるんだ、って思って気分が落ち込んだ。
「私が休んでるとき手伝ってくれたんだよね?本当、ありがとう…まさか仁花ちゃんと二人休むことになるとは思わなくて。」
仁花ちゃん、とはアズマネさんが言ってたやっちゃんの事だろう。一年のマネージャーさん。
「い、え!いい経験に、なりました。」
たどたどしく返事をすると優しく見つめてくれる。その優しさが嬉しくもあり、痛くもある。
「本当助かった。今練習やってるからよかったら見ていく?」
そう問いかけられて、悩む。縁下くんがいる体育館に踏み入れて大丈夫だろうか。平気だろうか。そう考えているのとは反対に、私は無意識にうなずいてしまっていた。
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桜餅(プロフ) - 素敵な作品でした、縁下くん罪な男ですね。 (2021年4月5日 17時) (レス) id: 7911da50c3 (このIDを非表示/違反報告)
朱音 - 縁の下くん私も好きです!更新頑張ってください! (2019年11月9日 16時) (レス) id: 3635743cb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コンタクトるり江 | 作成日時:2019年10月28日 21時