スポットライト ページ27
部活が終わる。
帰りは縁下くんと二人でなく、バレー部の皆。
澤村さんに肉まんを奢って貰って、食べた。美味しくて美味しくてもう、幸せを感じる。
ただ縁下くんとの気まずさは消えず、会話はゼロ。好きだけど、私とじゃ幸せになれないから…これが正解なんだと思う。多分。
夜道、こちら側の人はいないから一人で帰ることになる。ペコリとお辞儀をしてそちら側へ向かうと、隣に縁下くんが並ぶ。
「送るよ。」
そう、言ってくれる。
嬉しいけど気まずくて、目線を泳がせてから「ありがとう」と。
二人になった途端、縁下くんが話し出す。
「ごめんね、あの時は急に。……俺も、混乱してて」
「…すきになっても、いいんですよ？」
いつも思ってたことがふと、口に出る。
ふわりと笑って彼に述べると驚いた顔をして私の頭を撫でる。
頭上に暖かみを感じて、嬉しくなって立ち止まる。こちらを不思議そうに見つめる縁下くんに歩み寄り、そっと腰に手を回した。
「…連絡先、教えてください。」
彼の胸に顔を埋めると背中に手をやり、頭を撫でてくれる。連絡先聞くのにいちいちオーバー？抱きついたら気持ち悪がられる？
…もう、そんなのどうでもいい。
好き。
好き。
大好き。
「ねえ、縁下くん。」
「…何？」
「もうすぐ、学校始まるね。」
「うん、」
「それに当たって言いたいことが、あるんですけど」
「好きになった、とか？」
「…好きになってくれていいんですよ？」
そんな不毛な会話。
これが楽しい。
暗闇の中、街灯が私たちを照らす。
スポットライトみたいだ。
…私たちのためだけに用意されたスポットライト。
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桜餅(プロフ) - 素敵な作品でした、縁下くん罪な男ですね。 (2021年4月5日 17時) (
レス) id: 7911da50c3 (このIDを非表示/違反報告)
朱音 - 縁の下くん私も好きです！更新頑張ってください！ (2019年11月9日 16時) (レス) id: 3635743cb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コンタクトるり江 | 作成日時：2019年10月28日 21時
