物音 ページ20
一人、森の中を歩く。
懐中電灯なんか宛になんなくて、足がガクガクと震える。道もわかんないし、そのうち迷って帰れなくなってしまいそう。
そんなネガティブな妄想ばかり浮かんでは、首を振って否定。足が地面を踏みしめる度、がさっと音を立てる。それすらも怖くて、辛くて、目に涙が滲んだ。嗚呼、何事もなく終わりますように。
しばらく歩いた。
しかし奥という場所がわからないし、帰り方もわからない。完璧な迷子だ。
あまり動きすぎては駄目だろう。
携帯もおいてきてしまったから助けは呼べない。取り合えず端に腰を下ろしてみて、膝に顔を埋める。寂しい、寒い、冷たい。
みんな探しているだろうか。
それとも気づかれずにいちゃったりするのだろうか。そしたら、少しへこむ。
そんな下らないことを考えていると、ガサガサと森を掻き分ける音がする。一般の道と言っていたからその人かもしれないし、助けかもしれない。それなら良い。…でも
野生の動物とかだったら、対処できる自信がない。すぐに食べられてしまう。そんなことを思ってるうちに物音は近くなっていく。ああ、どうせ死ぬのなら最後、縁下くんに気持ちを伝えれば良かった…なんて。
音が止み、最後一際大きな音で草が掻き分けられる。視界が開けて、思わず目を瞑る。
「…っ、和澄、!」
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桜餅(プロフ) - 素敵な作品でした、縁下くん罪な男ですね。 (2021年4月5日 17時) (レス) id: 7911da50c3 (このIDを非表示/違反報告)
朱音 - 縁の下くん私も好きです!更新頑張ってください! (2019年11月9日 16時) (レス) id: 3635743cb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コンタクトるり江 | 作成日時:2019年10月28日 21時