慧眼と金塊 2

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中に入り座ると
村長を思われる男が手を合わせながら


「イランカラプテ」


と言った




「真似しろ」

と杉元の指示に従い
牛山が手を合わせた時だった




「ムシオンカミ」


村長を指さしながら
アシリパがそう言うと横にいた女性が
ブホッと吹き出す




「？？」

「え？なに？」




杉元もアイヌの男も分かっていないようだ


「この子は・・・
どうしてあんたらと一緒にいるんだ？」



と話を変えてくる




「あー・・・ちょっと、」


と杉元が説明し始めるが
その途中でアシリパが勢いよく立ち上がる




「オソマ行ってくる！！」



「フッ・・」



いつも礼儀正しいアシリパが
そんな大きな声でオソマだなんて・・・

面白すぎやん




「うちの便所は分かりにくい場所にある
迷ってないかちょっと見てこい」



そういってアイヌの男も一緒になって出て行く
その男の足にチラリと見えた刺青の柄



少しだけだったけどあれは
クリカラモンモンだ


「ムシオンカミってどういう意味だ？」


尾形が突拍子もなく
そう言うと男たちは黙ってしまう



「あれ、意味知らないの？」



と私が追い立ててみると
少し焦ったような声で




「ムシオンカミはちょっと聞いたことがない
さっきの娘はこの辺のコタンの子か？

アイヌ語にも方言がある」



「でもあんたの奥さんは知っていたようだけど？
奥さんはここのコタン出身じゃないんだ


私、奥さんの生まれたコタンがどこか
知りたい」



というと杉元が声を遮る



「ギョウジャやニンニクだけでも
‘’プクサ‘’とか‘’プラルイキナ‘’とか
違う呼び方があるらしいからね


一体何を疑っているんだ、尾形！A！
この人達に失礼なマネはゆるさんぞ！」




なんでこんなに杉元は
この男たちを信用しきっているんだ



いや、優しい杉元だからなぁ



「こいつら本当にアイヌか？」



ニッと笑う尾形
茨戸の時と一緒だ


・・・私の感が言っている
これはヤバイことになる





「ウンカオピウキヤン！」



さっきの女性がそう叫ぶ


「いまのご婦人はなんと？」


「知らないほうがいい
和人を良く思わない者もいる

でも我々は歓迎するよ
今夜は酒でも飲んで・・・」


「ウンカ オピウキ ヤン！！！」




女性はまた叫ぶ




「出て行け」



男がそういうと女性は外へ
連れていかれてしまう




でも私は見逃さなかった


連れて行った別の男の足に
クリカラモンモンが入っていたのを



完全にこのコタンは
黒だ

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