tantalizing (ページ22)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:5,986 hit

＊ページ22

グスッ、グスッと、彼女が鼻をすする音だけが、電波に乗って届く

とにかく、沈黙を破りたかった

YG｢それっ……て？ﾊｯ、え？なに？理解できるように言って？｣

返事が返ってこない

なんだよそれ、どういうことだよ

YG｢もしかして、A俺が無理してこんなこと言ってるって思ってる？｣

『思ってない…！思ってないよ、そんなこと。違うの、これは全部、私のわがままだから…』

そう言うと、彼女はまた泣き始めた

何がいけなかった？

俺の態度？

なら今からでも間に合うならどうにだってするよ
お前が望むような男に変わるよ

俺の面？頻繁に連絡しなかったから？お前が望むことをしてやらなかったから？

グルグルと頭の中に色んなことを思い浮かべる

YG｢なぁ、俺、どうしたらいい？お前なしじゃ…お前がいなきゃ俺、もう、、、｣

『ユンギ、忘れないで。あなたの事を好きなのは、私だけじゃないはず。よく周りを見て。』

YG｢分かってるよ！俺はもう昔みたいに1人じゃねぇよ。だけど…だけど…っ！｣

自分自身の不甲斐なさが悔しくて、悔しくて悔しくてたまらない

どうしてこうなった？何がいけなかった？

どこで俺ら、間違えてしまった？

『ユンギ…ほんとに、ありがとね。大好きだよ。』

YG｢なぁ、おいA。勝手に終わらせようとすんなよ、なあ！俺の話聞いてくれよ…！｣

『…っ、ユン…ギ…。ほんとに…愛してる…っ』

YG｢おい！答えろよ！なあ！A…！！｣

Aは1度深呼吸をすると、ゆっくりと、穏やかな口調で言った

『また、私を見つけて。川じゃなくて、海を渡って、私に、会いに来て…？』

｢なぁ、どういうことだよそれ…！｣

『…っ、それじゃあ、元気でね』

音がしなくなった電話を耳から離して空を仰ぐと

さっきよりもたくさんの綺麗な星屑が散らばっている

どうせなら、雨を降らせてくれよ、神様

空には、星屑が連なっていた箇所が、川のようになっていた

こんだけあるんだ、俺の願い叶えなきゃまじで許さねぇからな

俺は、星屑の川を見上げ、そして祈る

彼女とまた再び、会えますように

【星に願いを】