『明日を求めて』4 ページ35
先ほどまで自身の肩に手を回していた筈のスバルが、衝撃により吹き飛ばされた。
それにつられてAも床に尻もちを着いてしまう。何だ、何が起こった。
視界の端に、スバルを吹き飛ばした原因であろう鎖が物凄い速さで廊下の奥に引っ張られていった。
廊下の奥に、誰かがいる。いや、誰かじゃない。あの鎖は、あの鎖の持ち主はーー
「うぐ、あ、がぁああぁああ！！」
瞬間、鼓膜を震わせたのはスバルの苦痛による悲鳴。そうだった、他の事は後回しに、まずはスバルを助けなきゃ。
「スバル、大丈夫。死なないで！」
左腕のなくなった肩に手を当て、治療を施していく。体中のマナを使っての全力の治癒魔法。血は止まった。大丈夫、死にはしない。
スバルの目は、痛みのショックといきなり大量の血を失った事による貧血で虚ろとしている。もともと体力は大幅に削られていたから、まだ安心はできなさそうだ。
鎖の音が再度近づいてくる。狙いはきっとーー
「なんで、こんな事するの…！？なんで、あなたがっ！！」
スバルの頭部目掛けて放たれた、鎖の先についたトゲ付きの鉄球を突風を使って弾き飛ばす。
小さな竜巻に巻かれた鉄球は、その勢いを落として絨毯の上に落ちた。勢いよく鎖が引かれ、また廊下の奥、闇の中に消えていく。
ちらりとスバルの方を見れば、目は開いているものの意識を保っているのかは微妙なところだろう。目から光が消えている。
「…邪魔をしないでください。あなたに、危害を加えたいわけではーー」
「スバルには、こんな酷いことしてもいいって？違うでしょ！あなたは、こんな事するような子じゃないでしょ…！」
「Aさんには、何も見えていないんです」
闇に紛れて姿は見えないが、その声は紛れもなくよく見知った“彼女”の声で、それでも聞いたことのない冷酷な声で発せられたその言葉に、Aは息を呑み動きを止めた。
「すいません、こんな事になってしまって。本当は誰にも気づかれないようにするつもりだったんです。姉様にだって、言わないつもりだった」
「…」
「でももう限界なんです。耐えられない。きっとその人は、近いうちにこの屋敷へ危害を加えます。だからーー」
一呼吸を置いて、言った。
「その前に、レムはスバル君を殺します」
「ーー！」
勢いをつけて飛んでくる巨大なモーニングスターを弾き返し、ようやく悟った。
この子は本気で、スバルを殺す気なんだ。
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籠球(プロフ) - スーディンさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです。よろしければ、続編の方でも応援よろしくお願いします！ (2017年8月17日 0時) (
レス) id: a6bccb531e (このIDを非表示/違反報告)
スーディン - 楽しく読ませてもらっています！ (2017年8月16日 21時) (レス) id: b99a23d97e (このIDを非表示/違反報告)
籠球(プロフ) - しぇるふぃあ。さん» わわ、またまたコメントありがとうございます！一人称については、本当ですね。気づきませんでした…ご指摘ありがとうございます！修正しておきます！お褒めの言葉も、凄く嬉しいです…！よろしければこれからも応援よろしくお願いします！ (2017年8月10日 5時) (レス) id: c62e084d94 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - またまたお邪魔しますー。戦闘シーンとか「明日を求めて」→「明日を求めた」とか本当かっこいいです…!ところで、ページ35のレムの台詞の一人称が私になっていて、誰かを明かしたくないのであれば主語を省略すると良いと思います(上からみたいですみません) (2017年8月10日 5時) (レス) id: 2fca820d76 (このIDを非表示/違反報告)
籠球(プロフ) - Mさむさん» コメントありがとうございます！お褒めのお言葉、凄く嬉しいです…！確かに、陣営によっては書く必要のない章も出てきますよね。エミリア陣営は原作と同じ視点から物語を書けるので、恐らく最も書きやすいと思います。小説の更新、頑張ってください！応援してます！ (2017年6月25日 16時) (レス) id: 6a9b5f0fc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏みかん | 作成日時：2017年5月6日 20時
