『結局は顔』 ページ4
「ところで」とエミリアがスバルに、改めてどこから来たのかという質問をする。
一度目の世界ーー盗品蔵で、全員仲良くエルザに殺された世界でも尋ねられた質問だ。
一度目の世界、そして四度目の世界でもスバルがラインハルトに同様の質問をされ、それにまともに答える気がないのは分かっているのでその会話を聞き流しながらぐるぐると庭園を散歩する。
はたと目についた庭の隅でささやかに咲く青色の小さな花を眺め、一周してスバルたちの元へ戻ればいつの間にか出現していたパックがスバルの手の中でモフられていた。
「あっ、ずるい!私も触る!」
「へへん、残念だったな!これは命懸けでエミリアたんを救った俺に与えられた極上至上の権利!何人たりとも渡してなるものか…!」
「Aおはよ〜!あっ、スバル、なんかゴメンね?」
「畜生!!世の中美少女が全てか!!」
権利がどーのと言っていたスバルの手からするりと抜け出し、Aの元まで突進していくパックを見て、スバルが悲痛の声をあげた。
スバルと比べて小さめの手のひらの中に収まり、両の親指でお腹を撫でられるパックが「ごろごろ」とわざとらしく声をあげる。
「あー、気持ちいい。可愛い。癒される〜」
「くそ、ちっこい猫と美少女が戯れてるところなんて絶景に決まってるじゃねーか。それを男だと思ってた俺の目が今は本当に信じられん」
目尻を下げて、微かに頰を赤く染めた美少女もといAを見て、スバルが悔しげに唸る。
そのままその光景を眺めているのもオツなものではあるが、朝の時間をそんな事に費やすのはどうにも決まりが悪い。
仕方なく、日課の筋トレをしようと腰を下ろし、まずは腕立て伏せから。それを五十回やれば、同じ数腹筋と背筋をして、少しの休憩を挟んで二セット目。
それを済ましてお次は木刀を振る。いつの間にか現れて、いつの間にか消えて言った双子のメイドから受け取った木刀の握り心地を確かめて、エルザとの戦いを想定しながらひたすらに振る。
何回かエルザやラインハルトと頭の中で戦い、全敗したところでふと目をエミリアの方へ向ける。
エミリアは少し離れたところで、微精霊たちと語らっていた。
周囲を無数の輝きが包み込み、幻想的な空気に馴染む二人目の美少女。
一人目の美少女は、これまたエミリアと離れた場所でパックと戯れている。
どちらの元へ行こうかと悩み、即決。その間約一秒。
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籠球(プロフ) - スーディンさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると嬉しいです。よろしければ、続編の方でも応援よろしくお願いします! (2017年8月17日 0時) (レス) id: a6bccb531e (このIDを非表示/違反報告)
スーディン - 楽しく読ませてもらっています! (2017年8月16日 21時) (レス) id: b99a23d97e (このIDを非表示/違反報告)
籠球(プロフ) - しぇるふぃあ。さん» わわ、またまたコメントありがとうございます!一人称については、本当ですね。気づきませんでした…ご指摘ありがとうございます!修正しておきます!お褒めの言葉も、凄く嬉しいです…!よろしければこれからも応援よろしくお願いします! (2017年8月10日 5時) (レス) id: c62e084d94 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - またまたお邪魔しますー。戦闘シーンとか「明日を求めて」→「明日を求めた」とか本当かっこいいです…!ところで、ページ35のレムの台詞の一人称が私になっていて、誰かを明かしたくないのであれば主語を省略すると良いと思います(上からみたいですみません) (2017年8月10日 5時) (レス) id: 2fca820d76 (このIDを非表示/違反報告)
籠球(プロフ) - Mさむさん» コメントありがとうございます!お褒めのお言葉、凄く嬉しいです…!確かに、陣営によっては書く必要のない章も出てきますよね。エミリア陣営は原作と同じ視点から物語を書けるので、恐らく最も書きやすいと思います。小説の更新、頑張ってください!応援してます! (2017年6月25日 16時) (レス) id: 6a9b5f0fc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏みかん | 作成日時:2017年5月6日 20時