『二度目の協力』 ページ26
とにかくスバルと話をしなければと、レムに「スバルを探して来る」と言い捨て、急いで部屋の外に出る。
スバルに続き、Aまで部屋から飛び出して行ってしまい、レムは困惑に目を白黒させた。
＊
息を切らしながら、屋敷の廊下を走り抜ける。
スバルがどこにいるかなんて、心当たりは全くない。
けれど、あてはあった。
『死に戻り』した直後のスバルからは、濃密な気配が漂っている。
その気配を追っていけば、その原点にスバルがいる。いるはずだ。いるはずなのだけれどーー
「どこに、いるのさ！」
気配が、全く感じ取れない。
少なくとも、王都にいる時はスバルから百メートル以上離れても、薄っすらとどこにいるのか把握できた。
だからスバルに近づけば近づくほど感じやすくなるのだろうと思って、屋敷中の廊下を走るが、ほんの少しも何かに体が反応する事はなかった。
「もしかして外にいるの…？そういえば、この時間帯はエミリアが庭でーー」
それに気づいた時、Aの足ははっきりとした目的を持って階段に向かっていた。
＊
「ーーって、いないし…！」
「あ、おはようA。どうかしたの？すごーく慌ててたみたいだけど…」
庭に続く扉を開けた時、見えたのは手入れの行き届いた緑の芝生と、銀髪を揺らすエミリアただ一人だった。
もちろん、スバルの気配は微塵も感じられない。
「エミリア、スバル見てない？」
「スバルなら、さっきラムも探してたわ。これから私も探しに行こうとしてたところで…」
エミリアが困った顔で眉を下げたのを見て、最大の心当たりが不発だったことに気分が沈む。
こうしていても仕方がないとエミリアを連れて屋敷に戻ろうとした時、振り返った視界の中で閉じられていた扉が開いた。
「ーースバル！」
そこから出てきた人物の姿にエミリアが咄嗟に駆け寄り、Aも駆け寄ろうとしてーー後悔した。
「うわ、すごいひりひりする。鳥肌すごい」
「ーーA！」
スバルから漂う気配に尻込みして、言葉を交わすスバルとエミリアを遠くから見つめる。
すると、ふいにスバルが自身の名を呼んだ。
彼はこちらに駆け寄ってきて、その場でスバルの背を見ながら立っているエミリアに聞こえないくらいの声音で、
「悪かったな、また巻き込んじまって。正直今回の死はかなりキたけど、絶対に、取り返してやる。だから、協力を頼みたい。お前の力が必要だ」
黙りこむAに、スバルは続ける。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 70人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
籠球(プロフ) - スーディンさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです。よろしければ、続編の方でも応援よろしくお願いします！ (2017年8月17日 0時) (
レス) id: a6bccb531e (このIDを非表示/違反報告)
スーディン - 楽しく読ませてもらっています！ (2017年8月16日 21時) (レス) id: b99a23d97e (このIDを非表示/違反報告)
籠球(プロフ) - しぇるふぃあ。さん» わわ、またまたコメントありがとうございます！一人称については、本当ですね。気づきませんでした…ご指摘ありがとうございます！修正しておきます！お褒めの言葉も、凄く嬉しいです…！よろしければこれからも応援よろしくお願いします！ (2017年8月10日 5時) (レス) id: c62e084d94 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - またまたお邪魔しますー。戦闘シーンとか「明日を求めて」→「明日を求めた」とか本当かっこいいです…!ところで、ページ35のレムの台詞の一人称が私になっていて、誰かを明かしたくないのであれば主語を省略すると良いと思います(上からみたいですみません) (2017年8月10日 5時) (レス) id: 2fca820d76 (このIDを非表示/違反報告)
籠球(プロフ) - Mさむさん» コメントありがとうございます！お褒めのお言葉、凄く嬉しいです…！確かに、陣営によっては書く必要のない章も出てきますよね。エミリア陣営は原作と同じ視点から物語を書けるので、恐らく最も書きやすいと思います。小説の更新、頑張ってください！応援してます！ (2017年6月25日 16時) (レス) id: 6a9b5f0fc0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夏みかん | 作成日時：2017年5月6日 20時
