『恐怖は違和感に変わる』2 ページ6
「さて…」
先程取り乱したのは一体何だったのかというくらい、Aの頭の中は冷静だった。
今は恐怖は感じない。しかし、首の後ろあたりがぞわぞわして落ち着かないのだ。触ってみれば、大量の鳥肌が立っている。
そして、何かの気配ーー気配というよりかは、臭いと言うべきか。嗅覚で捉えることのできる臭いとは別物のようだが、なにか、気配が微かに臭ってくる。
それを辿った先にあるのは、恐らくスバルの寝ている客室だろう。一体スバルの身に何が起こったのか。確認しに、行かなければ。
「…不思議だな。もう、スバルの近くにいるやつは怖くない。ただ…近くに行くほど、凄く臭う」
食堂を出て、一歩ずつ絨毯を踏みしめて歩く。
スバルの部屋と食堂とは、それほど距離が離れていない。そのため、この不思議な臭いについて考えを巡らせる前に、スバルの部屋の前で足が止まった。
向こうの角に、長い銀色の髪が消えて行くのが見えた。
「…エミリア…？」
彼女の顔が見えず、表情も分からなかったが、何となく…沈んでいるように見えたのは気のせいだろうか。何だか引っかかる。
ぶんぶんと頭を振り、余計な思考はひとまずカットする。目の前の事に集中しなければ。
「スバル、入るよ…」
控えめにノックをして、ゆっくりと扉を開ける。隙間から見える部屋の風景は、先程とそれほど変わったようには見えない。
しかし、随分と臭い。この臭いはやはり、スバルから漂っているらしい。
「スバル？どうしたの」
「ーーA…」
俯き、下を向くスバルの顔は影になっていてよく見えない。しかしその様子はどう見ても只事ではなかった。
体にかかったシーツを握りしめる手は震えていて、Aの名前を呼ぶ声も小さく頼りない。
スバルを刺激しないように、足音を立てずにゆっくりとベッドに近づいていく。スバルが震える口を動かした。
「俺、俺は、し…『死に戻り』を、して…」
「…うん、知ってるよ。スバルは死んだら世界を巻き戻すことができる、不思議な能力を持っている」
「ーーっ、なんで、なんだよ、さっきのは！お前だったらいいのか！？どうしてエミリアは駄目なんだ！！」
腕を振り上げて、ベッドの背もたれに思い切り拳をぶつけるスバル。突然の大声にびくりと体が反応してしまった。
「落ち着いてよ。何があったの？」
「エミリアに、打ちあけようと思った！『死に戻り』のことも、全部！そしたら…」
そこまで言って、ぐっと言葉に詰まってしまう。
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みかんじゅ〜す(プロフ) - とても面白かったです！！完結となっていますが更新をなさらないと言うことですか？続きが楽しみなので更新されるかされないかだけ教えていただけませんか？ (2021年12月28日 20時) (
レス) id: 30ce22080f (このIDを非表示/違反報告)
わた。 - 更新はもうされませんか…？泣 ずっと待ってます。 (2020年9月22日 21時) (レス) id: 79fafdb344 (このIDを非表示/違反報告)
なな - めちゃ面白いです！見るの止まらなくて一気に読んじゃいました笑更新楽しみにしてます！ (2018年12月28日 23時) (レス) id: 55efb554d6 (このIDを非表示/違反報告)
団子 - はじめまして！読ませていただきました。率直にとても好きな作品です！特にスバルと夢主の関係がすごく好きです。挿絵の方も素敵で見させてもらっています。これからもささやかながら応援してます！ (2018年8月31日 22時) (レス) id: 655a142b18 (このIDを非表示/違反報告)
夏みかん(プロフ) - 美緒さん» コメントありがとうございます！レムとの戦闘は、双方ともに相手に怪我させないように配慮してたのであまり参考になりません。近接戦となれば、本気を出してロズワールといい勝負ができるかどうか…。まあまあ強い方ではありますが、対人はあまり得意ではありません。 (2018年3月25日 2時) (レス) id: a6bccb531e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏みかん | 作成日時：2017年8月13日 23時
