AU短編集3

＊まりもっこり様リクエスト(旅行1) ページ5

「皆で旅行に行こう！」

「ttt唐突だnnな」

「怠いんだけどな」

「まぁまぁ良いじゃないか！」

「良いねぇ！何処に行くの？」

朝食を食べ終わった直後の突然inkが旅行に行こうと提案してきた。あまりにも突然の事に乗り気でない者もいれば、今すぐにでもと言いたげな目でinkを見つめている者もいる。暇をしていた者が多いため圧倒的に後者が多い。皆で、と言ったinkの事だ。嫌がっても連れていく気だろう。

「ふふ、それはねぇ…」

inkが背負っている筆を手に取り、壁に向かって一振りする。すると壁から先に見事な雪景色が広がり、何処か懐かしさを感じる者達がいるようだ。

「おっ？もしかしてオイラ達の世界か？」

「当たり！一度原点に帰ってみようかと思ってね！」

一発で正解したsansを見て周りに花が咲いているじゃないかと錯覚する程の笑顔を浮かべるink。すぐに当ててくれて嬉しかったのだろう。

「Aちゃんも行こう！」

「あっ、す、すぐ行きます！」

dreamがAに手招きをする。行こうかどうか迷っていたが、せっかく誘ってもらったのだからとAはもう先に進んでいるdream達の方に走っていく。心の底から何かが這い上がってくるのを無視して。

「やっほー！EXPー！」

「yyyやめrrろ」

「一体殺すと一つクソゲー捨てるからな」

「やめる」

モンスターを殺そうと意気揚々とナイフを手に持っていたkillerだったが、殺したらクソゲーを捨てると言われてすっとナイフをお手製の鞘に入れる。ただでさえ高いお金を払って買ったクソゲーもあるのだ。捨てられたくはない。

「…懐かしい」

crossは自分の元の世界を思い浮かべながら辺りを見渡す。人間と出会った事も、兄弟と過ごしてきた日々も、地上を見た光景でさえも浮かび上がり、何かが締め付けられる感覚がする。もう会えないのだろうか。そう思い感傷していると、誰かに背中をとんっと軽く押された。

「俺だって懐かしいさ」

振り返ってみるとそこにはフードを被らずに辺りを懐かしんでいるmurderが立っていた。

「昔は良かったもんさ。戦いなんかなくて平和だった、人間の事も友と呼んでいた」

地上にだって出ていた。そう言ったmurderの声は今にも消え入りそうで、表情だって今にも泣き出しそうだ。見たこともない表情をしているmurderに対して何を言って、どう接してやれば良いのか、その時のcrossには分からなかった。ただ一つ分かることは、慰めでもしたら怒られていただろうという事だけだ。

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